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リチウムイオン電池と燃料電池は適材適所で

エコカー界隈では、次世代自動車は電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)かという議論が繰り返されています。FCVがトヨタMIRAIくらいしかない現状ではEVが有利に見えるものの、航続距離と充電時間の問題から、ガソリン車と同様に使えるはずのFCVが最終的には有利になるという意見が見られます。EV vs. FCV論争に決着がつくのは、おそらく何十年も先の未来の話で、それまでは不安定な過渡期にすぎません。

EVにしろFCVにしろ、時代の最先端の技術に違いはないわけで、未来を先取りする気分で私は日産リーフに乗っています。実際に車を購入するときに問題なのは、価格です。自分のお財布の限界を超えてモノを買うことはできません。私が乗っている2代目リーフXは400万円から補助金40万円を引いて自己負担額360万円でした(2017/9)。一方、トヨタMIRAIなら車体724万円から補助金202万円を引いて自己負担額522万円です (2018/9)。私は夢を買おうと背伸びしてリーフを購入しましたが、さらに150万円近く上乗せしてFCVを買うのは不可能です。

ところが、最近になって驚くべき記事を読みました。トヨタはMIRAIを4年リース価格362万円で販売しているというのです。仕組みとしては、いわゆる残価設定ローンで4年後の買い取り価格を50%に設定しているそうです。国からの補助金は相変わらず202万円出るので、正味160万円。残価設定ローンの金利が乗って最終的な自己負担額は220万円くらいでしょう。これは背伸びすれば手が届く!
近所に水素ステーションがない問題 (2018/3時点で全国100か所)と、水素価格がガソリン並みに高くランニングコストが案外高い問題が解決できれば、あるいは気にならなければ、FCVをマイカーにすることも現実的に可能です。実際に、愛知県では休日にマイカーとしてMIRAIに乗っている方をちらほら見かけます。

FCVの普及を妨げているのはコストの問題が大きいです。車体価格が高い問題はいずれ解決されるかもしれませんが、水素補充インフラの整備にも大きなコストがかかります。たとえば、水素ステーションの建設に1か所5億円(ガソリンスタンドは7千万円)ほどかかるといわれています。ガソリンスタンドは全国で3万件ほどありますが、FCVが普及期に入ってコスト低下が起きない限り、水素ステーションを全国津々浦々に設置するのは難しいでしょう。

こういう書き方をしていることからお分かりなると思いますが、マイカー、乗用車の分野においては、FCVよりEVが現実的だと私は考えます。充電インフラは家庭や宿泊施設などに設置される普通充電器なら30万円、道の駅やサービスエリアに設置される急速充電器でも1000万円程度です。数字の出所は2013年の資料ですから、普及期に入ればもう少し下がるでしょう。水素補充インフラと比べれば桁で安いのです。結果として、2017/3時点で急速充電器の数は7千件を超えています。都市部ではよく見かけるようになり、自家用車としてどうにか運用できるレベルになっていると思います。

それでは、FCVに未来はないのでしょうか。私はそうは思いません。むしろ、FCVに適した車の使い方があり、コストが高い過渡期においても優位性を発揮できる分野があると考えています。

最近、ドイツの地方鉄道に燃料電池列車が導入され運行を開始したというニュースが出てきました。ドイツの鉄道は電化区間が49%でディーゼル機関車が多く走っており、電化工事を進めるよりも燃料電池列車を導入する方がコスト面で優位になったそうです (日本は電化区間が7割弱)。鉄道のように決められた経路を決められたスケジュールで移動するのであれば、水素補充インフラの建設費は最小限で済みます。燃料電池を鉄道に使うのはインフラ整備コストの点で適しています。

日本でも燃料電池列車の研究開発は行われています。ただし、非電化路線への電動車両導入という点では、EVが先行しました。JR東日本の烏山線では、2014/3から宝積寺駅から烏山駅の約20 kmでEV-E301 系(ACCUM)が運行しています。宝積寺駅と烏山駅で停車中に急速充電してEV走行、電化された宇都宮線では普通の電車と同じように架線から電気を取り込んで走行しています。2017/3から烏山線はすべてEVに置き換わっているそうです。

鉄道においてFCVを選択したドイツと、EVを選択した日本。この違いは何なのでしょうか。私の予想では、運行区間の距離が選択を分けていると考えています。FCVを導入したドイツのブクステフーデ駅からクックスハーフェン駅の間は124 kmあり、烏山線の6倍もの長さです。自動車のFCVとEVの比較で航続距離が問題になるの同じく、鉄道でも長い距離を自立走行するにはFCVの方が適しています。

航続距離の違いは、水素とリチウムイオン電池のエネルギー密度の違いに由来します。水素タンクにしろ、リチウムイオン電池にしろ、車両のエネルギー源に使うことを考えると、重すぎては使えないし、大きすぎても使えないという制限があります。したがって、同じ重量でどれだけのエネルギーを蓄えられるかを表す重量エネルギー密度、同じ体積でどれだけエネルギーを蓄えらえるかを表す体積エネルギー密度の両方が高いエネルギー源が求められているわけです。

ガソリンと比べて、水素のエネルギー密度は重量エネルギー密度がやや高く、体積エネルギー密度が1/6ほどです。リチウムイオン電池は重量でも体積でもガソリンの数十分の1から1/100程度のエネルギー密度しかないので、現状のEVは大きな走行用電池を搭載せざるを得ません。また、FCVなら水素タンクのほかに燃料電池ユニットや補助バッテリーがあったり、EVなら急速充電用の配電装置や走行用電池の冷却ユニットがあったりして、システム全体としては前述の値よりもエネルギー密度が小さくなります。

リチウムイオン電池のエネルギー密度を桁で上回るような二次電池が今後20年以内に登場する可能性はほぼありません。ネットで最新の情報を調べてリンク先のような計算をすればエネルギー密度は自分で計算できますので、「革新的」だとか「画期的」という電池のニュースがあったら現状と比較してみてください。私の乗っている日産リーフ (2017) の電池は体積エネルギー密度460 Wh/L, 重量エネルギー密度224 Wh/kgです。電池パック全体で300 kgなので、重量エネルギー密度を計算すると132 Wh/kgですから、電池のまわりにいろいろと追加したシステム全体では見かけの上でエネルギー密度が小さくなるのがわかると思います。

EVの航続距離がリチウムイオン電池のコストで決まるなら、電池が安くなれば航続距離が延びます。しかし、実際にはエネルギー密度という材料の性質で決まっています。材料の研究開発は難しいので、10年で2倍になったら万々歳という程度の進歩しか期待できません。

5人乗りの自家用車であるリーフが満充電で高速を走ったとき、ようやく300 km走れるくらいのレベルになりました。それでは、より大きく、重たい車両の航続距離はどうなるでしょうか。大型車両にはより大型の電池を搭載できるとはいえ、大型バスや大型トラックがリチウムイオン電池の電力だけで長距離走行するのは難しいだろうと予想されます。逆にいえば、このような分野はEVよりFCVに優位性があります。

長距離走行する大型トラックや大型バスは、ある程度走行ルートが決まっているという点もFCVに向いています。バスターミナルや物流拠点と高速道路のサービスエリアに絞って水素ステーションを建設すれば、効率的に全国をカバーする水素インフラが成立するでしょう。前述した鉄道についても、非電化区間が長い四国、中国、北海道地方はコスト次第でFCVに置き換えることができる可能性があります。

EVにしろ、FCVにしろ、エネルギー密度で考えれば、生活の足はEV、長距離移動や大型車はFCVが向いているとわかります。2018年の時点では乗用車としてのEVが普及しだしていますが、大型車のような社会を支える働く車まで考えると、将来は適材適所に住みわけることになるでしょう。


2018/9/30追記
9/27にJR東日本とトヨタが燃料電池で連携することを発表しました。本稿で述べたように、非電化路線やバス路線への燃料電池車両投入はインフラ整備コストからして現実性のある分野です。水素燃料の貯蔵・輸送技術をはじめとして、まだまだ発展途上にあるのがFCVの実状。技術の進歩は使われることによって促進されるので、実証実験ではなく通常の営業運転にFCVが投入されることで、より現実的な技術に成長することが期待されます。

2019/7/26追記
JR東日本のFCVは2021年にも鶴見線と南武線で試験運行すると発表されました。主要諸元表によると70MPa充填で140 kmの走行が可能ということです。先に述べたようにドイツでは同等距離(124km)の路線で2018年からFCVの営業運転をしています。これから注目すべきは、車体うんぬんではなく、水素燃料の供給インフラをどのように整備するかという点です。鶴見線で試験運転するのも、おそらくは川崎の臨海化学工業地帯から水素の提供を受けやすいためでしょう。

2019/7/26追記
水素供給インフラのコスト抑制には、ガソリンスタンド同様にセルフサービス化が必要です。実はすでに綱島水素ステーションではセルフ充填が行われています。ノズルに付着した水滴が凍るので水滴を吹き飛ばす設備がつけられただとか、実証実験から知見がしっかり得られている印象を受けました。何かにつけて、常温で液体の化石燃料がいかに便利であるか、EVやFCVに触れると思い知らされます。

2018年7月

7月の走行距離は1,944 kmでした。

電費は7.4 km/kWhで6月と同等でした。6月から非常に暑いので、7月になっても大してエアコンの負荷が変わらなかったのでしょう。ようやく旅ホーダを感じられるような長距離を走ることができました。

月額2,160円のZESP2に普通充電の課金で合計2,713円に対して、ガソリン146 円/Lとして燃費105 km/Lと同等です。

急速充電 22回、普通充電は10回、急速充電1回あたりの走行距離は88 kmでした。

遠出をする際は宿泊先で普通充電をすると便利というのを如実に感じました。

日産リーフの電動ブレーキ不具合

ショッキングなニュースですが、普通に乗っているだけの方には関係のない話でした。LeafSpyを使用している方には関係あるかもしれません。

[特報]日産リーフ、走行中に電動ブレーキが作動しない脆弱性 2018/08/29 05:00 日経XTECH

記事中では、電動ブレーキと機械ブレーキのうち、電動ブレーキが動作しなくなる条件があると述べられています。電動ブレーキが何を指すのかはっきりしませんが、走行中に作動できて乗り心地が変わるという記事の文章から考えると、回生ブレーキのことを言っているのだと思います。

不具合が起こる条件が、CANに接続して車載コンピュータを診断モードに移行させるというものだったので、普通に乗っているユーザーには関係ありません。ただ、LeafSpyを使っているユーザーはCANにアクセスしているので、関係するかもしれません。LeafSpyでデータを読み取っている状態が、診断モードのまま走行している状態にあたれば話ですが。

新宿から扇沢(黒部ダム、立山)日帰り

リーフの弱点として、急速充電を繰り返すと電池温度が上がり、電池保護のため急速充電の出力が抑制されるという問題があります。今回は、旅程をうまく計画することで、電池温度の上昇を防ぎつつ長距離移動した例を報告します。


出発地点は東京との新宿駅付近、目的地は長野県の扇沢駅です。立山登山のため、大人4人とそれぞれの荷物を積載しています。基本的に高速道路を利用し、制限速度でプロパイロットを使用しています。エアコンは25度オートです。

出発前の準備として、普通充電で満充電にしています。新宿付近では普通充電が利用できる駐車場が複数あります。満充電かつ電池温度が気温程度まで下がっている状況でスタートすることで、急速充電をなるべく使わず、電池温度も上げない運用ができます。

新宿を出発して中央道を進むと、諏訪湖SAまでは余裕で到達できます。あまり飛ばすと空気抵抗が増えて電池の減りが早くなります。中央道は制限速度80 km/hなので、これを守っていれば十分です。諏訪湖SAで30分充電すれば、信濃大町の日産ディーラーまで到達できます。信濃大町から扇沢まで標高は上がりますが、水平距離は大してありません。帰りのことを考えると、先に急速充電しておくことで、黒部ダム・立山に行っている間に電池が冷却されることが期待できます。

満充電で新宿を出発し、諏訪湖SAと信濃大町で急速充電をした結果、およそ6時間で扇沢に到着しました。途中で30分ほどコンビニ休憩をしています。


帰りは扇沢到着から12時間以上たっているので、電池温度は十分に下がっていました。信濃大町で充電しておいたので、そのまま諏訪湖SAまで到達できました。ここで帰路1回目の急速充電です。車に表示される航続距離だと新宿まで行けるか微妙なところですが、実は諏訪湖SAから新宿まで到達できました。中央道は諏訪湖SAから八ヶ岳PAのあたりで標高1000 mまで登ります。ここから新宿へかけては基本的に下り道なので、あまり電池を消耗せずに走行することができます。

帰り道は5時間ほどで扇沢から新宿に戻ることができました。


新宿から扇沢までは、往復550 km、標高差1400 mほどです。そもそも日帰りするのは少し辛い距離ですが、充電のやり方によっては問題なく行って帰ってくることができます。

酷暑の夏、40 kWhリーフは一日の急速充電を2回までにしたい

日本各地で40度近い最高気温が報告される中、愛知から福島まで、一日で640 kmほど走ってきました。直面したのは、急速充電の出力抑制でした。リーフの走行用電池に強制冷却シスステムがないことに起因します。

高温時の急速充電出力抑制は、30度くらいから発動します。また、ある時期以降に納車されたリーフ(ZE1)は私が乗る初期ロットよりも出力抑制が弱い設定になっているようです。


出発地点は東名高速の音羽蒲郡IC。宿泊地の近くにファミリーマート豊川御油店の急速充電器があったので、前日のうちに88%まで充電しておきました。この時点での航続可能距離は243 kmと表示されていました。

愛知の気温は朝7時ですでに27度。エアコンは26度オート設定でかけっぱなしにしました。走行条件は基本的に制限速度でプロパイロットです。

東名高速から東海環状自動車道を経由し、中央道へ。ナビに促されるまま、長野県に入ってすぐの阿智PAで1回目の充電をしました。出発地点から150 km、標高920 mです。30分で22%から71%まで回復したのですが、すでに走行用電池の温度が40度を超えてしまいました。阿智の気温は10時ごろでも27度と涼しかったのですが。

さらに高速道路を北に進みます。次の充電は長野自動車道 姨捨SAです。阿智PAから140 kmほど、松本側から長野市側に山を越えた後の高い場所にあります。標高は620 mほど。SAの下には日本三大車窓に数えられる姨捨駅があり、SAからも千曲川沿いの美しい景色を眺めることができます。
標高が高いだけあって、正午ごろでも気温は29度でした。30分の急速充電で19%から56%へ回復。阿智PAでは49%分回復したのに、姨捨SAでは37%分しか回復していないことから、温度上昇によって充電器の出力抑制が始まっている気配を感じます。

姨捨SAからは上信越自動車道を通って新潟へ。途中、妙高SAで10分ほど継ぎ足し充電しました。急速充電では電池の温度が上昇するので、急速充電の回数は減らしたいところですが、すでに45度以上になっていました。外気温がいくら高いと言っても、40度は上回りません。そこで、充電時間を短くして、電池に負荷がかかりにくい走り方をすれば冷却されるのではないかと考えました。長野から新潟は基本的に下りになるので、高速走行といえども電池への負荷は小さいはずなので。

このような目論見が功を奏したのか分からないうちに、新潟の米山SAでの急速充電で電池温度が50度に達しました。リーフのインパネに表示される電池温度は数字が書かれていませんが、右側の赤い目盛り一本目が50度のラインと思われます。Leaf Spyで見ていると、3つある電池温度計のうちひとつが50度を超えたタイミングで、インパネの表示が変わりました。おそらく右端の赤い線は60度かそれより少し低い温度です。市販のリチウムイオン電池は許容上限温度が60度であることが多いので。

この後は北陸自動車道 栄PA磐越自動車道 阿賀野川SA磐越自動車道 西会津PA 磐越自動車道 磐梯山SA とSA巡りをする羽目になり、短時間の継ぎ足し充電を含めると一日で8回もの急速充電を経験することになりました。日本海側から標高570 mの磐梯山SA付近に向けて登りになるのに加えて、4回目以降は電池温度が常に50度以上になっていて、通常時の半分くらいしか充電できず、距離を走れないので急速充電の回数も増えるという悪循環でした。


結局、真夏に高速走行をして急速充電を繰り返すと、充電器の出力抑制が避けられません。使ったのはすべて高速道路によくある40 kWの充電器でしたが、1回目の充電に比べて、2回目には2割、3回目に5割、4回目には6割ほど出力抑制されました。6割も出力抑制されると、コンビニなどにある20 kWの充電器、いわゆる中速充電器と変わりません。

急速充電器の出力抑制は、リーフの車載コンピュータが電池温度を監視して、充電器に出力抑制を支持しています。出力抑制は急速充電器の方ではなく車の方に原因があるので、充電器を変えても問題は解決されません。逆に言うと、普段はあまり使わない20 kW中速充電器を、長距離移動する際には積極的に利用すると良いでしょう。最初から中速充電にしておけば電池温度は上がりませんし、電池温度が上がってしまっても、中速充電で十分車が許容するフルパワーを出せます。

電池の温度が一旦上がてしまうと、なかなか冷却されません。福島ではアクティブリゾーツ裏磐梯に宿泊したのですが、朝8時になっても電池温度が35度くらいありました。宿泊地は高原リゾートなので明け方の気温は20度を下回るほどだったのにも関わらずです。

急速充電の回数を減らすには、上で述べた中速充電に加えて、普通充電を活用することが有効です。観光施設や駐車場で普通充電設備を備えたところを選んで利用する。特に、長時間滞在する場合は普通充電でもそれなりの量の充電が可能です。さらに、普通充電では電池温度が全くと言っていいほど上昇しません。急速充電の出力抑制が入るような高温時には、普通充電中に電池温度は低下していくほどです。

今回の度では、アクティブリゾーツ裏磐梯で朝から普通充電をかけている間にホテルの目の前にある五色沼を散策していました。また、翌日の宿泊地が仙台だったので、仙台市内の普通充電設備がある駐車場を探したところ、ホテルに近い駐車場でかつ夜通し普通充電できる場所が何カ所かありました。


福島の翌日に泊まった仙台では、寝ている間に普通充電で100%まで回復しました。車の外気温計40度という表示になるくらいには暑い日でしたが、ホテルを出る前に乗る前エアコンを起動していたおかげで車内は冷えていました。

仙台から帰る道は、これまで走ったことがない常磐道にしました。仙台から神奈川までは400 km強。途中の充電スポットはナビにおまかせ。フル充電のリーフは下道を300 km近く走れるので、飛ばさなければ高速走行しても200 km以上走れます。仙台から200 km近く離れた常磐自動車道 中郷SAでようやく一回目の急速充電。一回目の急速充電はまだ電池温度が上がっていないので、走行距離120 km分くらいが充電されます。おかげで次の急速充電をしたのが常磐自動車道 守谷SAというほぼ東京の入り口のところにまで来ました。守谷SAで充電すると、今度はもう神奈川県まで帰れます。

この旅の経験をまとめると、以下のようになります。

  • 真夏の急速充電は一日あたり可能なら2回まで、できれば3回までになるように旅程を立てる。
  • 長距離走行する場合は、前日までにできるだけ満充電に近づけて、かつ走行用電池の温度を下げておく。

日産のblogでも同様の内容が紹介されているので、オーナーの方は参考にしてください。

一日で600 km走るよ!という場合はどうしようもありませんが、一日の移動距離が400 kmくらいまでなら、40 kWhリーフでもそこまで困りはしないと感じました。

リーフで行く夏至の大弛峠、金峰山

山梨県と長野県を隔てる奥秩父山塊にそびえる金峰山。その登山口のひとつ、大弛峠は自動車で通行できる国内最高所の峠で、標高が2360 mもあります。

標高が高いところにEVで登るのは挑戦的です。調べってみると、初代リーフやiMiEVで大弛峠を登った報告がありました。リーフはともかく、より電池容量が小さいiMiEVでも登れるものかと感心しました。

翻ってこちらは初代の2倍近い40 kWhの電池を搭載した2代目リーフ。今回は金峰山への登山が目的なので、大人4名と登山装備で300 kgくらいは乗っていたでしょうが、電欠の不安なく登ってきました。

東京の友人たちと合流するため、まずは新宿へ。待ち時間の間に90%くらいまで充電しました。深夜だったので急速充電スポットはどこも空いていました。

初台から首都高に乗り、中央道で一宮御坂ICを目指します。山梨県は道の駅やコンビニなどに多くの急速充電器がありますが、その出力は高くありません。大弛峠へのアプローチを考えると、経路上ならファミリーマート塩山小屋敷店 (20 kW)、経路に近いところでは道の駅 花かげの郷まきおか (30 kW)日産プリンス山梨販売(株) 笛吹石和店 (44 kW)が24時間営業の急速充電器として挙げられます。今回は出力の高い日産プリンスの急速充電器を使いました。

山梨で急速充電をする前で充電率50%くらい、充電後が85%くらいでした。山道に入ると充電スポットなどないので、これで上まで行かなければなりません。ただ、前に述べたように、2代目リーフの電池容量は初代の2倍近く、まず間違いなく登り切れます。

あいにくの天気でデフロスタを使用していましたが、何事もなく大弛峠まで到達しました。山梨での充電から、充電率にして40%程度の電力を消費しました。結果的には山梨で充電しなくても峠まで来られましたが、そこは安心のため充電しておいた方がいいでしょう。

大弛峠に到着したの午前4時過ぎ。ちょうど夏至のあたりだったこともあり、空が妖しい紫色に染まっていました。

 

駐車場の近くには有料の公衆トイレがあります。トイレのあたりからは南側が見えて、まだ上の方が白い南アルプスも朝焼けに染まっていました。

大弛峠のあたりは北側の展望が開けていません。登山道を1時間ほど歩いた朝日岳まで来ると、360度の大展望が開けます。

樹林帯の中を歩いているうちに日の出を迎えました。

南側が開けている場所は所々あります。雲海に浮かぶ富士山は荘厳です。

朝日岳の東にある岩場は素晴らしい開放感が味わえます。ここからの眺望は何物にも阻まれません。

朝日岳の頂上にはベンチがあって一休みできます。西側の岩場からは金峰山がよく見えます。五丈石が特徴的で、すぐにわかります。奥に見えるのは南アルプス。鳳凰三山に登ったのが2年前です。

ここまで南側の景色ばかりでしがた、北側の景色もなかなかです。遠くに見えているのは浅間山でしょうか。

金峰山の手前で登山道が90度曲がる場所があります。間に高い山がないので、八ヶ岳の姿がよく見えます。昨年、赤岳に登った際は雲に覆われて何も見えませんでしたが、雲がなければ向こうから金峰山も見えたことでしょう。

ここから金峰山山頂まではなだらかな道が続きます。やや風が強い。

八ヶ岳の手前に見えるのが瑞牆山です。瑞牆山に登った日も天気が悪かった・・・。

歩きやすくて景色の良い道を行きます。

大きな岩場を抜けると山頂の標識があります。前を行く人についていったらやたら難易度が高いと思ったら、正規のルートが別にありました。目印の赤丸あるのに。

五丈石と富士山。午前8時を回って、そろそろ天気が悪くなってきました。

瑞牆山荘の方から登る方はこちらのコースをたどります。結構険しそう。展望は最高で、こちらからは中央アルプス、北アルプスまで見えます。

金峰山荘までは下る必要があるので帰りが億劫ですが、トイレはあそこまで行かないとありません。

金峰山荘で食事休憩をとって、同じ経路で大弛峠まで戻りました。大弛峠から東側に15分ほどいくと夢の庭園という場所があります。そこからの景色がこちら。木道がしっかり整備されているので、登山装備がなくても登って来られそうです。

さっきまでいたはずの金峰山が小さく見えます。そして、くっきり見えていた南アルプスが雲にのまれました。セーフ。

夢の庭園までの道のりにある、手のような形をした木

2018年6月

6月の走行距離は992 kmでした。

電費は7.4 km/kWhで5月より悪化しました。非常に暑く、冷房の消費電力が多きなったこと、山に登ったので高速走行と上り坂のために電力を多く消費したためと考えています。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン146 円/Lとして燃費67.2 km/Lと同等です。

急速充電 13回、普通充電は0回、急速充電1回あたりの走行距離は76 kmでした。

新型日産リーフ (2017)のWLTCモード航続距離

新型リーフが発表された2017年は、航続距離(燃費)がJC08モードで計測されています。電気自動車に限らず、ガソリン車でもJC08モードの燃費は甘々で、実際の燃費はカタログ値より2割ほど悪いと言われています。

新型リーフの航続距離については、私自身が納車日に269 km弱走ったほか、各種メディアでも検証されています

2018年10月から、燃費の基準が変わります。従来は各国が独自に基準をつくっていたのに対して、これから採用されるWLTC (Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle) モードは国際的な基準です。市街地や高速道路といった走行条件違いでそれぞれ燃費を表示する点がおもしろいところです。

燃費の計測方法が変われば、当然ながら結果も変わります。それでは、新型リーフの航続距離はどのような表示になるのでしょうか?調べてみたところ、オーストリアではすでにWLTCモードの値が公表されているようです。なお、日本でプロパイロットを搭載している型は17インチホイールです。

・16インチホイール
415 km 市街地モード
285 km WLTCモード
・17インチホイール
389 km 市街地モード
270 km WLTCモード
INSIDEEVs

新型リーフの納車から半年ほど乗っていますが、WLTCモードの燃費は実際の値に近いと感じます。

余談ですが、航続距離測定をするのも一苦労のようです。

 


2019年1月11日追記

ZE1 2018年モデル (40kWh) と e+モデル (62 kWh) のWLTCモード航続距離が発表されていました。

40 kWh 322 km
62 kWh 458 km

40 kWhの航続距離は、うえで紹介したオーストリアの値より大きくなっています。その理由はおそらく日本のWLTCは超高速域 (Extra HIGH) を除いた条件で算出されているのに対して、オーストリアは欧州なのでExtra HIGHを含めた値になっているためと想像します。
Extra HIGHは時速120 kmで走行する条件ですので、日本の高速道路の制限速度 (新東名の一部でも110 km/h) を超えて高速走行するような条件です。

日産リーフの急速充電速度低下 高温の場合

6月だというのに梅雨が明けてしまいました。関東は連日の真夏日です。これだけ暑いと、リーフの電池温度も高止まりしてしまいます。そのため、電池劣化が進むこと、そして急速充電で充電できる電気量が小さくなることが問題になりそうです。

初代リーフでは低温時(10℃くらい)に急速充電速度低下が大きく、高温時(30℃くらい)はむしろ急速充電が早く進みました。これは、初代リーフの電池の温度上昇によって内部抵抗が低下し、定電流充電モードから定電圧充電モードに移行する充電率が大きくなるためと理解できます。

一方、その後の改良された電池を搭載するリーフは、低温でも内部抵抗が小さく、定電流モードでの充電が広い充電率範囲で可能になっています。すると、今度は高温時の充電速度低下が問題となります。

一般論として、高温になるほど化学反応は進行しやすくなります。電池でいうと、理想的な充放電反応ではなく、電池の劣化につながるような副反応も起こりやすくなってしまいます。したがって、電池の温度は必要以上に上げたくないのですが、充電時には電流が流れるので熱が発生してしまうのを避けられません。リーフに限らず、電気自動車の走行用電池を急速充電する際には、電池の温度が上がりすぎないように、充電電流を抑制する機構が動作するようになっています。

ユーザーとして気になるのが、電池の温度がどの程度になると急速充電に抑制が入るのかという点です。LeafSpyのデータを見ていると、2017年に登場した新型リーフの電池は35℃あたりから抑制が入るようです。秋から春にかけての外気温が30℃に満たないような季節であれば、急速充電後に高速運転を続けてすぐ急速充電をするくらいの負荷で電池温度が35℃に達しました。ところが、最近は外気温が30℃を上回っているので、日中のリーフの電池は充電や走行をする前から35℃ちかい高温になっています。ここから急速充電や高速走行をしようものなら、すぐに充電電流の抑制がかかる温度に到達してしまいます。

具体的には、外気温が32℃の夕方に日産ディーラーの急速充電器で充電したところ、涼しい季節は107A流れるところが、95Aしか流れませんでした。30分の充電でも通常は容量の53%程度が充電されるのに対して、45%しか充電されませんでした。温度上昇によって、急速充電で充電できる電気量が1割強低下したことになります。

長時間の高速走行が必要な長距離移動の際には、このような高温時の充電電流低下が問題になるかもしれません。ユーザーとしては、可能なら普通充電で温度を上げずに涼しい夜の間に満充電にしておいて、日中の急速充電回数を極力減らすといった対策が必要でしょう。私は家で充電できないので、前日のうちに充電を済ませておくことにします。


気温が40℃近い状況だと、連続走行かつ急速充電は一日2回か3回になるように旅程を組んだ方が良さそうです。


2018年は強烈な猛暑だったこともあり、ネット上には新型リーフの急速充電が遅いという口コミが何件もみられました。その中で「リプログラム」という言葉があったので調べてみると、私が乗っている初期ロット (2017年10月製造) に比べて、最近製造されたロット(2018年中ごろ?)は急速充電の出力抑制プログラムが変更されているようです。初期ロットと同じ出力抑制プログラムの車体で、新しい出力抑制プログラムに書き換えることがリプログラミングと呼ばれているとわかりました。

出力抑制の程度や、リプログラミングによって抑制がどの程度緩和されるのかは、以下のページに画像が出ていました。リプログラミング後は、30℃以上で出力抑制が開始されるのは変わらないものの、35℃から45℃くらいの温度域では2~3割ほど高出力で充電されるようです。夏は気温が40℃近くあって電池の温度が高止まりするので、リプログラミングによって使い勝手はかなり良くなると思います。高温による電池劣化は心配ですが。

40KWリーフのリプロ (バッテリー高温時の充電速度対策)

2018年5月

5月の走行距離は505 kmでした。

電費は7.8 km/kWhで4月より悪化しました。暑くなって冷房を使うようになったのが原因でしょう。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン141 円/Lとして燃費33.5 km/Lと同等です。

急速充電 4回、普通充電は0回、急速充電1回あたりの走行距離は126 kmでした。