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[Microsoft365] PublisherでQRコード画像を含んだ差し込み文書を作成する

Microsoft Officeの中でも影が薄いPublisherは、紙に印刷する用途でPowerPointのように自由なレイアウトを作るのに適してます。無理やりPowerPointやExcelで掲示物を作ると印刷するときに意図しないズレが生じたり、紙の大きさに合っていなかったり、決まった寸法で大量に掲示物を作ろうとしたときにうまくいかないといった不便さがあります。Microsoft 365 (旧Office 365)を導入していればほぼ使えるだろうPublisherを使って、このようなケースに対応してみましょう。

このページでは、レイアウトを揃えて、内容が異なる印刷物を作る例を紹介します。QRコードのような画像も入れ替えながら印刷できます。

Publisherの基本的な使い方

Publisherは印刷に適したソフトである一方でWordやExcel、PowerPointのように詳細な解説本がないというデメリットがあります。とはいっても、WordやPowerPointを使ったことがあれば直感的に操作できるようなソフトなので、ヘルプを読みながら、いろいろと自分で試してみるといいでしょう。ここでは、基本的な使い方を紹介します。

テンプレートから用紙サイズを選んでみましょう。Publisherを起動した画面で、新規>その他の白紙のページサイズを選びます。

次に、「宛名ラベル」から「30枚/ページ」を選んでみましょう。このとき、幅6.668 cm高さ2.54 cmの用紙サイズが設定されます。もちろん、目的にあったほかの用紙サイズを設定していただいて結構です。

用紙サイズを選択すると、いよいよ編集の開始です。指定した用紙サイズの白紙が表示されます。よく見ると、縦軸と横軸にcmの寸法が表示されていることに気づくでしょう。このように、PC上で作成したレイアウトが印刷したときにどのような大きさになるかを確認しながらレイアウト作成をできるのがPublisherの強みです。

Publisherで白紙が表示されたところ

このあとの操作はWordとPowerPointを合わせたようなものです。画面上部のメニューで「挿入」を選ぶと、PowerPointと同じように「テキストボックス」や「図形」といった選択肢があります。ほとんど同じように使えます。

Publisherの挿入メニュー

まずは共通する部分のレイアウトを作成してみましょう。PowerPointと同じと思って操作すれば大丈夫です。たとえば、下図のように共通部分を作ってみました。

Publihserの「差し込み印刷」機能を使おう

印刷レイアウトとは別に、予めExcelで差し込み印刷に使うデータを用意しておきます。データはExcelファイルで作成するのが便利です。1行目に何のデータを入れるのか書き、2行目以降に差し込み印刷に使いたいデータを入れていきます。このとき、実際にはあとで使用しないデータ列が入っていても問題ありません。

例として、次の図のようなExcelファイルを作りました。A列にはページタイトル、C列にはページのURLを書き込んでいます。D列には、C列のURLをQRコードにした画像のファイル名を書いています。同じ行に書き込まれたデータをセットとして、対応する項目を書き換えた印刷物が出力されるわけです。

差込データの身中身

画像ファイルは、上図のExcelファイルと同じフォルダに格納しておきます。フォルダの中は下図のようになります。

差込データと画像の入ったフォルダ

差し込みデータの準備ができたら、Publihserの方でデータを読み込みます。「差し込み文書」タブを開いて、「宛先の選択」をクリックします。すると下図のようなメニューが出てきますので、「既存のリストを使用」をクリックします。

「データファイルの選択」を求められますので、先ほど作成したExcelファイル (差し込みデータと画像.xlsx)を選択します。Excelファイルを選択すると、Excelファイルの中のどのシートを使うか問われます。ここではSheet1しかないので、これを使います。ここで「先頭行をタイトル行として使用する」にチェックが入っていると、データを選ぶ際に便利です。

差し込みデータの読み込み画面その11

PublisherがExcelファイルを読み込んで、読み込んだデータセットの対応が正しいかを確認する画面が出ます。ここで「アドレス帳」という言葉が使われるのは、もともと差し込み印刷の機能が手紙の宛名を印刷するのによく使われていたことの名残です。まったく意味はないので気になさらずに。

差し込みデータの読み込み画面その2

データの読み込みが終わると、レイアウトに差し込みデータを挿入できるようになります。「差し込みフィールドの挿入」を押すと、差込データのタイトル行に書かれた文言が表示されます。ここで「ページタイトル」を選択すれば、印刷時に「ページタイトル」の中身が表示される場所(フィールド)をレイアウトに挿入できます。

差し込みフィールドの挿入

画像を挿入する場合は、「画像」から差し込みデータで画像のファイル名をタイトル行に書いた「QRコード画像」を選択します。

差込画像の挿入

実際に差込フィールドを入れたの次の図です。「<<ページタイトル>>」と書かれた部分に、差込データの「ページタイトル」列のデータが入ります。差し込み文書は、通常のテキストボックスと同じように、それぞれ文字の大きさやフォントなどを設定することができます。画像の差し込みでは、画像アイコンが表示されていることを確認してください。画像アイコンになっていない場合、文字として挿入されている可能性があります。

sささsさし差込データ差込データ差し込みフィールドを含んだレイアウト

これで準備完了です。「完了と差し込み」をクリックして、「プリンターに差し込み」を選択してください。

完了と差し込み

印刷画面が表示されます。「用紙1枚に複数ページ」の設定で印刷プレビューをした場合には、次のように表示されます。差込データに対応して、文書と画像が書き換わっていることがわかるでしょう。この画面から印刷するなり、PDFに保存するなりすれば、レイアウトの揃った状態で内容を変えた印刷物を出力することができます。

差し込み印刷のプレビュー

QRコードの画像を用意する

QRコードの作成はフリーソフトなりWEBサービスなりで前もってやっておきます。あまり凝ったレイアウトを必要としない場合はWordの差し込み印刷機能にあるバーコード機能を使う手もあります。Wordのバーコード機能を使えばQRコードの画像を別に用意しなくていいので楽です。WordではQRコードの大きさ指定やレイアウトが若干使いづらい点は注意が必要です。フリーソフトではQRコードジェネレータ – QRコード一括作成ソフトが使えそう。ExcelシートからQRコードを大量生成するではExcelファイルをアップロードするとQRコードを作ってくれます。Pythonを使える方は、このページのコードをローカルで実行するのが便利でしょう。