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新型リーフ (2017) のバッテリー劣化 – 新車12か月点検を終えて

2代目日産リーフの新車半年点検時点における電池の劣化状況について以前報告しました。今回は新車12か月点検後の情報アップデートです。バッテリーの劣化は予想より早い印象です。

納車から1年が経過しましたが、体感できるような劣化や故障はありません。1年間の走行距離は約13,000 kmで、初代のリーフに乗っていたときより年間2,000 kmほど走行距離が長くなりました。高速道路で遠出をするというときに、これまでなら東京から山梨くらいでいたところを、長野まで行けるようになった感じです。一日に急速充電を何度も繰り返すのは厳しいという問題はあっても、遠出の前には満タン充電しておくなり、滞在先での普通充電を活用するなり、使い方を気を付けているので深刻な問題になっていません。

高速道路を走行する際は、プロパイロットのおかげでずいぶんと楽になりました。アクセルを踏み続けなくてもいいというだけで、疲れ方が違います。
ただし、人間の運転ほどの乗り心地ではありません。前の車をカメラで認識して追従運転するというシステムなので、前の車が車線変更でいなったときの加速が激しかったりします。もちろんインターチェンジなどで他の車が合流してくる際に減速して合流しやすくしてあげることもないので、そこはドライバーが操作してあげる必要があります。システムの特徴を理解して使っていれば、安全に楽に運転できる機能です。

EV乗りとして最も気になるのが、走行用バッテリーの劣化に伴う容量低下です。冒頭でも述べたように、体感できる差としてはありません。しかし、物質としてのリチウムイオン電池の劣化は進んでいるはずです。
車のインパネにはバッテリーの劣化状況が12セグメントで表示されています。これでは詳細な変化は追えません。そこで、非公式のLeafSpyというアプリを使って情報を収集します

納車から月数とSOHの推移を下図に示します。トレンドとしては、月ごとに0.53ずつSOHが低下しているようです。この調子でいくと2年半ごろにセグメント欠け (12セグメントのうち12セグメントが欠ける) が生じると予想できます。SOHとセグかけの関係が初代リーフと同じSOH15%低下で11セグメント、以降SOH6.25%低下で次のセグメントだったと仮定した場合ですが。10年10万kmで劣化10%以内という宣伝からすると、ちょっと予想より早いですね。いわゆる初代リーフ中期型と同じくらいの劣化速度と思います。

納車からの月数とSOHと推移。走行距離は年13,000 kmほど。最初のころはLeafSpyが2代目リーフに対応していなかったのでデータが取れていないが、SOHを外挿した切片が100%近いので大きくは外れていないだろう。

データの収集と公表は今後も続けます。どうかSOH低下が収まりますように! 実際のところ、リーフのバッテリーは完全な空や満タンにならないようにバッファー領域が設定されています。電池劣化とバッファー領域の関係はこれまで気にしていなかったので、こちらもデータを取ってみようと思います。

追記 2019年1月26日
他のZE1リーフについて調べてみると、12か月点検の時点で走行距離22,000 km、SOH93.7%という報告がありました。走行距離は私の2倍近いですが、納車からの時間に対するSOHの低下具合は同じ程度です。

追記 2019年1月31日
さらにネット上に公開されているデータを収集したところ、日本から3件、イギリスから2件のデータを入手できました。下図のように、おおまかには上の図で示した黒点線と同じような速度でSOHが低下しています。
図中の凡例には、国と走行距離を示しています。日本とイギリスで同じような範囲にデータが収まっていることから、2018年の酷暑が原因で日本での電池劣化が激しいという仮説は間違っていそうです。このままでは10年10万kmで劣化10%以内には到底なりません。バッテリー自体には問題がないのに、車載のバッテリー管理機構の設定に問題があるため見かけ上SOHが低下しているように見えるだけではないかとすら疑ってみたくなります。

2018年12月

12月の走行距離は1249 kmでした。

電費は6.2 km/kWhで11月から1.1 km/kWh低下しました。暖房の使用と高速走行の影響でしょう。800 kmくらいは高速を走っているので。

月額2,160円のZESP2に加えて、普通充電で657円を使いました。ガソリン140 円/Lとして燃費62.0 km/Lと同等です。

急速充電 15回、普通充電は2回、急速充電1回あたりの走行距離は83 kmでした。

日産リーフe+ (2019年モデル) 発表

2019年1月9日に2代目日産リーフの高容量バッテリーモデルe+が発表されました。1月23日に発売される予定です。

リーフが走っているのは西伊豆スカイライン、俳優が登山しているシーンは白馬の模様。

電池容量が現行 (2018年モデル) の40 kWhから62 kWhに増えました。これによって、満タン充電時の航続距離が現行 (2018年モデル) の322 km (WLTCモード) 400 km (JC08モード) から458 km (WLTCモード) 570 km (JC08モード) に伸びました。
また、最高速度が140 km/hから157 km/hになりました。電池容量が大きくなったことで、出力も上がったのでしょう。
e+モデルは標準モデルに対して、Xグレードでほぼ50万円、Gグレードで73万円の高値です。

私が乗っている2018年モデルの航続距離 (一般道) はほぼWLTCモードの値と同じだったので、e+モデルは450 kmを無充電で走破できるでしょう。私の経験上、高速道路は8掛けくらいの距離を走れるので、高速道路でも360 kmくらい走れるでしょう。参考に、東名高速の東京ICから小牧ICが約340 kmです。浦和から仙台も同じくらい。

バッテリーの容量は1.5倍になりましたが、室内空間には影響ありません。バッテリーパックは大きくなっているので、全高が高く、最低地上高が低くなっています。大きくなったバッテリーパックに288セル (従来は192セル) を敷き詰めている写真が公開されていますが、ずいぶんと窮屈そうです。モジュールのフレームがヒートシンク的に働いてくれると良いのですが。e+モデルのバッテリー容量アップは電池を並列つなぎで増やした効果がほとんどですので、全体として出力電流が同じでも、1セルあたりに流れる電流は2/3倍に減少します。電流の減少は発熱量の低下につながりますが、モジュールの設計変更と合わせて総合的に電池に良い方に転ぶか悪い方に転ぶか、私には予想がつきません。

40 kWhでさえ一般家庭の消費電力からしたら数日分に相当する大容量なのに、62 kWhの充電は何時間かかるのだろうかと心配になります。そこはやはりe+モデルの普通充電が6 kW (標準モデルではメーカーオプション108,000円) に標準対応しているようです。6 kWで充電できるなら、夜中に満充電近くまで充電することが可能ですので、通勤等で日常的に長距離運転するユーザーにも対応できるでしょう。
2019年1月の日本国内では、急速充電器は出力50 kW、30分がベスト性能です。この条件で2018年モデルは約22 kWhの充電ができますが、e+モデルからしたら電池容量の1/3程度にすぎません。e+モデルは最大100 kWの急速充電に対応しているので、今後より高出力の急速充電器が普及してもそのまま使用できます。

なお、現行モデルもさりげなくLEDヘッドライトが標準装備になった模様。LEDヘッドランプは54,000円のメーカーオプションだった。また、日産リーフのスマホアプリでカーナビ同様に充電器の空き状況を調べられるようになるらしい。これは便利だ!
また、ようやくETC2.0ユニットがディーラーオプションに登場。さらにカーナビがAndroid Auto対応。従来はApple Car playしか対応していなかった。
さらによく見ると、Xグレードのプロパイロットが162,000円から77,760円と半額以下に安くなっている。これでずいぶん安くなったと思ったら、ベースのXグレードの価格が上がっていて、私が購入した2017年9月とほとんど金額が変わらない。

2年ほど前から、60 kWhモデルが登場する際にはバッテリーセルの供給元がAESCからLG化学に変わるという噂がありました。今回発表された62 kWhのバッテリーパックは従来のAESC製を力業で容量アップしたものなので、おそらくセルもAESCのものを使っていると予想します。

電池性能の指標 面抵抗

騒がれている割に市場に出てこない全固体電池。ブレイクスルーっぽさを感じるニュースが定期的に出てくるけれど、その発見にはどのような価値があるのか。

最近、次のようなニュースが流れてきた。いわく、電極と固体電解質の界面で大きな抵抗が生じるのが問題だったが、界面抵抗を低減する方法を見つけたという。

東京工業大学物質理工学院の一杉太郎教授、日本工業大学の白木將教授および、産業技術総合研究所(産総研)物質計測標準研究部門の白澤徹郎主任研究員らによる研究グループは2018年11月、界面抵抗が極めて小さい高性能な全固体電池を実現するためには、界面における原子配列が、規則的であることがポイントになることを発見したと発表した。


全固体電池、界面の規則的原子配列が高性能の鍵
eetims 2018年11月27日

ここで見慣れない単位を見かけた。界面抵抗Ωcm2である。調べてみつと、界面での電位降下[V]を電流密度 [A/cm2]で割った単位だった。中学校の理科で勉強する電気抵抗Ωは、回路の大きさを考えていない。実際には、回路の電線が太くすれば電気抵抗は小さくなる。これは単位面積あたりに流れる電流が小さくなるためと考えればよい。すると、材料として電気を通しやすいか否かは電流が流れる面積を揃えてあげないと、公平な比較ができない。このため、単位面積で比較する界面抵抗という単位が用いられる。

界面抵抗を使った簡単な計算をしてみよう。たとえば、以下のような問題を考えてみる。

急速充電時の発熱を見積もるには、電極面積の値が必要である。接触抵抗率[Ω cm2] = 電圧 [V] / 電流密度 [A/cm2]をもとに、日産リーフの電池をモデルに考えてみよう。まず電池パックが2並列であることから、CHAdeMO規格50 kWの充電電流120 [A]は2並列に分かれるのでひとつのセル、電極には60 [A]が流れる。
電極面積はシート形状(261 mm×216 mm)からおよそ500 [cm2]と見積もれるので、電流密度は0.12 [A/cm2]と求まる。
接触抵抗率 5.5 [Ω cm2 = V / (A /cm2)] であれば、界面の電圧が0.66 [V]になるので、界面全体での消費電力は60 [A] * 0.66 [V] ~ 約40 [W]になる。ちなみに、40 [W]というと、オフィスの直管型蛍光灯1本の消費電力と同程度である。

ところで、60 [A]での充電というのは、どれほど電池にとって厳しいことをしているのだろうか。電池容量が1 [Ah]のものと1000 [Ah]のものがあったら、同じ60 [A]という電流値であっても電池にとってのキツさは異なる。そこで、所定の時間で完全に充放電できる電流値を比較の物差しにする。先ほどと同じく2018年現在のリーフの電池をモデルに考えてみよう。定格容量56.3 [Ah]なので、60 [A]なら約1時間で充放電される。1時間で完全に充放電される電流値が1Cといわれる値であり、電池容量に電流の大きさとしては普通の値である。この2倍、3倍、5倍、10倍というような電流値になると、電池にとって厳しいハイレート充電・放電という言われ方をする。

電池パック全体では300 [A]のような大電流で充電したとしても、並列回路で電流を分けたり、広い面積の電極をつかったりすれば、それほど高い電流密度になるわけではない。一方で、電池の大きさはできる限り小さくしたいという要望があるので、このバランスとして車載電池のスペックが決定される。

2018年11月

11月の走行距離は1270 kmでした。

電費は7.3 km/kWhで10月から0.3 km/kWh低下しました。暖房の使用頻度が上がって、消費電力が大きくなっています。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン149 円/Lとして燃費87.5 km/Lと同等です。

急速充電 14回、普通充電は2回、急速充電1回あたりの走行距離は91 kmでした。

2018年10月

10月の走行距離は1018 kmでした。

電費は7.6 km/kWhで9月から0.7 km/kWh低下しました。寒くなりだして暖房を使ったことや、9月はほとんど遠出をしなかったことが影響しています。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン153 円/Lとして燃費72.2 km/Lと同等です。

急速充電 11回、普通充電は0回、急速充電1回あたりの走行距離は93 kmでした。

BMW i3の製造工程

BMV i3は、三菱i-MiEV (2010年)、日産リーフ (2010年)とともに、現在のEVブームの初期 (2014年) から日本国内で個人が入手できるpure EVのひとつです。軽量化のためCFRPでつくられたボディ、細いタイヤ、ワンペダルドライブなど、おもしろい特徴を備えています。

BMW i3の製造工程を紹介する動画をYouTubeで見つけたので紹介します。40分と長いですが、なかなか見ごたえがあります。よくこれだけの製造ラインをつくったなと。自動車産業が資本と技術を集積した先進工業国の象徴のように扱われる所以を見たような気分です。

神奈川県EV・FCV認定カード

EV・FCVへの優遇政策としては、購入時に国から補助金が出たり、税金が減免されたりする制度がよく知られている。一方で、各自治体からも補助金をはじめとしたさまざまな優遇が用意されている。

たとえば、神奈川県に住所がある個人や、事務所がある法人には、県営駐車場の料金が割り引かれる制度がある。詳しくは神奈川県の駐車場料金の割引を参照してほしい。江の島や箱根といった観光地に近い駐車場も割引対象になっている。

申し込みには申請書と車検証の写しを郵便またはFAXで県に送ればよい記載例もあるので、申請は難しくない。申請すると1週間弱で認定カードが郵送されてくる。

神奈川県EV・FCV認定カード
金太郎さんは箱根のあたり出身らしい

割引対象駐車場一覧

横浜

三浦半島

鎌倉

江の島 (島側)

江の島海岸~鵠沼海岸

湘南 (辻堂~大磯)

箱根

相模原

丹沢

2018年9月

9月の走行距離は329 kmでした。

電費は8.3 km/kWhで8月から1.0 km/kWh改善しました。9月は気温が落ち着いてきたのでエアコンの消費電力が抑えられたのと、忙しくて遠出をしなかったので高速走行がなかったのが理由でしょう。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン147 円/Lとして燃費22.5 km/Lと同等です。あまり距離を走らないと、EVのコストメリットは弱くなります。

急速充電 3回、普通充電は0回、急速充電1回あたりの走行距離は110 kmでした。

2018年8月

8月の走行距離は2,464 kmでした。

電費は7.3 km/kWhで7月と同等でした。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン146 円/Lとして燃費166 km/Lと同等です。イニシャルコストが高いだけランニングコストが低いというのをひしひしと感じます。

急速充電 29回、普通充電は1回、急速充電1回あたりの走行距離は85 kmでした。