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新型リーフ (2017) のバッテリー劣化 – 新車24か月点検を終えて

新型リーフ (2017) のバッテリー劣化 – 新車12か月点検を終えての続編です。

2017年10月の納車から2回目の12か月点検を終えました。さらに数か月経っていますが、バッテリー劣化の現状を報告します。

LeafSpyで取得したSOHの経時データ。2017年10月納車、走行距離は1,000km/月、気候は関東平野部。

バッテリーの劣化は、納車時に比べて1割程度のようです。満充電時の航続可能距離にしても、LeafSpyの示すSOHにしても、約1割低下しています。走行距離は月1,000km程度で、現時点で27,000kmくらいです。同時期に6万km走った方も同等のSOHであると報告しているので、バッテリー劣化は走行距離(充電回数と言い換えられる)に依存せず、単純に時間が経過したことによる劣化が主である可能性が高いといえます。

ZE1の発表時に日産が10年10万kmで10%以内といっていたのよりは早く劣化が進行しています。この違いはどうしてでしょうか?おそらく、電池の経時劣化に対する理解が十分でないために試算を誤ったのだろうと私は考えています。通常、工業製品の寿命試験は加速試験をして求められます。加速試験とは、 通常よりも過酷な条件で使用してもこの程度の劣化なのだから、通常の条件での劣化は同等以下に収まるはずだというものです。10年後の寿命を実測するには時間がかかりすぎるので、加速試験の結果を外挿して長期間劣化の程度を見積もります。電池の研究開発の段階では、電池を高温で経時させたり、繰り返し充放電させたりといった試験が行われたはずです。走行距離が2万kmでも6万kmでもバッテリー劣化が同程度だるというのは、充放電による劣化を抑える施策は効果的に働いたことを意味しています。一方で、冒頭で述べた2年で10%の劣化のいう結果から、通常の条件で放置しているだけの劣化については、外挿する条件が適切でなかったといえます。実験室レベルではとらえにくいゆっくりと進行する劣化に対処するのは非常に難しいことだと、技術者の身としてはよくわかります。ただ、EVのパイオニアである日産とAESCであってもその程度の技術力なのかと残念な気持ちになります。今後、AESCの電池を使っていた日産やPanasonicの電池を使っていたテスラがCATLの電池を使う方針を示しています。同じ完成車メーカーが異なる電池メーカーから調達することによって、本当に強い技術を持った電池メーカーがどこなのかが明らかになるでしょう。

2020年1月

1月の走行距離は292 kmでした。

電費は7.2 km/kWhで12月より0.1改善しました。高速道路での長距離移動が減ったためでしょう。

月額2,200円のZESP2に対して、ガソリン145 円/Lとして燃費19.3 km/Lと同等です。

急速充電 4回、普通充電は1回、急速充電1回あたりの走行距離は73 kmでした。

2019年12月

12月の走行距離は1,563kmでした。

電費は7.1 km/kWhで11月より0.5悪化しました。気温が低下したうえに、高速道路で長距離移動が多かったためでしょう。

月額2,200円のZESP2に対して、ガソリン143 円/Lとして燃費101 km/Lと同等です。

急速充電 16回、普通充電は1回、急速充電1回あたりの走行距離は98 kmでした。

2019年11月

11月の走行距離は645 kmでした。

電費は7.6 km/kWhで10月より0.2悪化しました。暖房を使い始めた影響が出ています。

月額2,200円のZESP2に対して、ガソリン140 円/Lとして燃費19.8 km/Lと同等です。

急速充電 5回、普通充電は0回、急速充電1回あたりの走行距離は129 kmでした。

日産EV用プラットフォームは電池水冷方式へ

生きていた“ゴーン計画”、日産がEV専用プラットフォームを20年量産

走行用電池の熱マネジメントは、電池の性能を大きく左右する。Teslaが電池パックの中に冷却液を流して強制的に冷却しているのに対して、初代ZE0から2代目ZE1まで日産リーフは自然放熱に頼っている。走行用電池があまりにも高価であるため、コスト低減の目的で電池冷却機構は省略されたといわれている。モデルSの発売が2012年6月で価格は1000万円以上するのに対して、日産リーフは2010年12月に400万円弱で発売されたことからも、日産のコスト低減努力が相当なものだったことがうかがえる。しかし、日産リーフの電池はアリゾナ州など高温環境で顕著に劣化することが発覚したり、急速充電を繰り返すと電池温度が高くなって保護のため充電電流が制限されたりと、自然放熱に頼った電池温度制御の問題点が指摘されていた。

日産、三菱、ルノーが2020年ごろに共通のEV用プラットフォームを採用した車を市場投入するとアナウンスされたときも、2010年ならいざ知らず2020年にもなって受動的な熱マネジメントに頼るEVは難しいだろうという思いを抱いたものだ。予想通り、2019年の東京モーターショーで披露されたクロスオーバーEVのコンセプト車アリアを含む新プラットフォーム車は水冷式になる可能性が高いというコメントが開発担当者から出た。電池の劣化は日産リーフの抱える最大の問題といっても過言ではないから、次の車からは温度管理が強化されて気苦労なく乗れる車になってほしい。

 リチウムイオン電池は床下に敷き詰める。日産はこれまで電池パックの冷却冷却方式として、自然空冷を採用してきた。アリアを含む新PF採用車は、水冷方式に切り替える可能性が高い。「電池の性能を安定化させたり劣化を抑制したりするためには、強制的に冷却する方が良い」(前出のEV開発担当者)と判断した。

生きていた“ゴーン計画”、日産がEV専用プラットフォームを20年量産
久米 秀尚=日経 xTECH/日経Automotive
2019/10/23 20:36

2019年10月

10月の走行距離は311kmでした。

電費は7.8 km/kWhで9月より0.2改善しました。冷房が要らなくなってきましたが、夜はステリングヒーターを点けるときがあります。

月額2,200円のZESP2に対して、ガソリン140 円/Lとして燃費19.8 km/Lと同等です。消費税が10%になり、ZESP2の月額料金が2,160円から2,200円になりました。

急速充電 7回、普通充電は0回、急速充電1回あたりの走行距離は44 kmでした。

2019年9月

9月の走行距離は813 kmでした。

電費は7.6 km/kWhで8月より0.1改善しました。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン136 円/Lとして燃費51.1 km/Lと同等です。

急速充電 9回、普通充電は1回、急速充電1回あたりの走行距離は90 kmでした。

2019年8月

8月の走行距離は1,590 kmでした。

電費は7.5 km/kWhで7月より0.2悪化しました。普段は1人乗りですが、4人乗りで1,000 kmちかく走ったのが影響したかもしれません。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン136 円/Lとして燃費100 km/Lと同等です。

急速充電 26回、普通充電は1回、急速充電1回あたりの走行距離は61 kmでした。

宮城県は牡鹿半島の先端から神奈川県まで夜中12時間かけて走ったときは、バッテリー温度が上がって急速充電の抑制がかかりました。やはり1年目に見積もったように効率的に大電流で急速充電できるのは1日2回が限度だと思いました。寝ている間に満充電にしておけるように、普通充電器を宿泊施設に普及させる取り組みが重要だと思います。

2019年7月

7月の走行距離は1,350 kmでした。

電費は7.7 km/kWhで6月と同じでした。

月額2,160円のZESP2に対して、ガソリン138 円/Lとして燃費86.5 km/Lと同等です。

急速充電 19回、普通充電は0回、急速充電1回あたりの走行距離は71 kmでした。

7月後半の猛暑と、長野の方の山道をひたすら走っていたことを考慮すると、まずまず数字だと思います。

急速充電器からの騒音

電気自動車はエンジンを使わないので、音や振動が少ない。静粛性を売りにするため、日産リーフでは初代ZE0と比べて2017年にモデルチェンジしたZE1で吸音材を増設するなど、車内の静粛性を高める工夫が行われている。私も初代ZE0と2代目ZE1に乗った経験から、ZE1は車に乗り込んでドアを閉めた時点で静粛性の違いがわかるほどである。

車内の静けさに慣れてしまうと、今度は急速充電器からの騒音が気になりだしてくる。充電中には急速充電器から低い音と高い音が聞こえる。低い音は空冷ファンの音であり、充電停止後もしばらくは聞こえてくる。高い音は電流が流れている間だけ聞こえてくる音であり、おそらくは電気回路に由来する磁励音だ。磁励音は電気回路が交流電流で振動することで生じる音で、生活の中でわかりやすいのは電車が走行するときに聞こえる。試みに急速充電器で充電中の音響スペクトルをSpectroidで測定した結果が下の図である。16,000Hz付近にピークを持つことがわかる。

急速充電器HFR1-20B4 (20 kW)で充電中の音響特性

CHAdeMO規格では急速充電器の正面1mの位置で65dB以下という騒音の基準があるようだが、高い音なので耳障りだ。利用者としては、充電待ちの間、車内に居たり、離れたところにいたりすれば問題ない。むしろ急速充電器を設置する施設の管理者にとって悩みの種になるかもしれない。電気自動車乗りからすれば急速充電器はありがたい存在だけれど、それ以外の人にはただの騒音源なのだから。新しく急速充電器を設置する施設は、不特定多数の客が通行するような主要な動線からは離れたところに急速充電器を設置するといいだろう。ショッピングモールなどであまり便利な場所に急速充電器があると駐車場のEV充電マスがエンジン車に占有されてしまって充電できないケースもあるのだから、電気自動車乗りは入り口から遠くても不満に思わない。