9月に不正検査問題であれだけ騒がれておきながら、また不正検査です。リーフを製造している追浜工場も含まれています。
まだ連絡は来ていませんが、明後日納車の私の新型リーフもリコールがかかるでしょう。
一連の日産不正検査問題は、安全性と法令遵守の2つの側面があります。
安全性については、私は気にしていません。検査員の資格の有無にかかわらず、検査において適切な手順と適切な判断がなされていれば、安全性に問題は生じないためです。以下の動画のようにコンピュータが判定を示す現代において、資格がないからといって不適切な判定をしてしまうとは考えにくいでしょう。
問題なのは、法令遵守ができていないことです。工場での完成車検査は0回目の車検のようなもので、行政の代わりに企業が車検を実施してよい根拠なり基準なりが必要です。それが社内資格を得た検査員による検査なのですから、現代の技術レベルからしてルールで定められたやり方がいくら無駄に満ち溢れていたとしても、ルールを破ってしまえば完成車検査をしてよい根拠が揺らぎます。
ルールが不適切なとき、やるべきはルールを変えることであって、ルールを無視することではありません。
言葉は悪いですが、どこかの誰かがルールを破ったときに1回きついお灸をすえれば、業界全体がルールを再確認して秩序が回復するもんだというくらいの認識で、私は大して不快感も持っていませんでした。
ところが、100%資格のある検査員が検査を実施していると10月頭に宣言したにも関わらず、複数の工場で正しいやり方に直っていなかった。今回の報道には心底がっかりしています。
報道を見る限りでは、日産は正しいやり方で検査をしているつもりだったでしょう。直したつもりだった。それが、しっかり見てみると正しくできていなかった。つまり、日産の製造の現場では、本来どうあるべきかという正しい情報が欠落していたということです。
悪意があって隠したなら咎めれば不正は直せるものの、正しい形、正解がわからない状態のまま何となくで不正をしてしまったとなると、従業員の教育や技術・知見の伝承ができていないのではないかと疑わざるをえません。製造業の根幹たる主力工場の製造現場でこのような事態に陥っているとなると、本当に管理できているのと不安になります。
上で述べたように、法令を守っていようとなかろうと、適切な手順で製造され、検査されていれば安全性に問題はないはずです。このような管理不行き届きの状態で、「適切になされている」と誰に信じてもらえるでしょうか?
日産の西川社長の会見を見ました。工場のラインを止めて工事をし、完成検査ラインを確立するまで国内出荷はしないということです。対応としては及第点でしょうが、最初からそれをやりなさいよと思います。
一方で、社長からの命令が現場の責任者である係長に届いていないだとか、届出と異なる不正検査は20年以上にわたって常態化していた可能性があるだとか、信じがたい内容も社長の口から出てきました。
ところで、不正検査の発覚は内部告発だったようです。
内部告発で発覚したとしたら、内部告発者や今後内部告発しようとする人の不利益にならないように、内部告発があったと明言しないほうがいいような気がするのですが。