日産リーフ、2017年フルモデルチェンジ続報

2017年の秋に日産リーフの新型が発表される噂が飛び交っています。
私の認識では、もはや新型が出ることは確定で、関心は時期、価格、性能に移っています。
日産は日本の会社なので、東京モーターショー2017 (プレスデー10月25日(水)、一般公開10月28日(土)から11月5日(日))で詳細が公式発表されると睨んでいます。

これまでの噂話は海外発のものが多かったように思いますが、国内でも日経に関連しそうな話題が出てきました。

エコカーの本命は「なぜPHEVか」日産、エンジン並EVを20年頃投入
清水直茂、日経Automotive、2017年5月号、pp.14-16

取材を受けているのは矢島和男氏(日産自動車でEV開発にあたる地位のある方)なので、日産の公式見解に近い情報が書かれていると考えられます。

記事の要点をまとめると、以下のような内容でした。

  1. 2017年に投入する見込みの新型リーフは、航続距離が350 ~ 400 km (JC08モード)価格は現在と同等で、補助金を受けた実質販売価格を約360万円としたい。
  2. 大容量電池の搭載で航続距離の問題は数年で解消する見込み。リチウムイオン電池の価格は急激に低下しており、初代リーフ発売の2010年から2016年で1/5に低下した。2020年には1/10まで低下する。
    2010年 800 USD/kWh > 2014年 400 USD/kWh > 2016年 150 USD/kWh > 2020年 100 USD/kWh
  3. 日産ノートe-Powerの販売は好調で、モーター走行は消費者に歓迎されている。
  4. プラグインハイブリッド車の購入者は、エンジンを起動しないモーター走行を求めている。三菱アウトランダーPHEV、トヨタプリウスPHVのいずれも同じ状況。

(1) まず、価格の情報が出てきたのが新情報です。現行同等ということで、一安心。国の補助金を受けた現行リーフの30kWhモデルXグレードが約330万円、Gグレードが約370万円です。(日産WEBカタログより)
航続距離がJC08モードで350 ~ 400 kmということは、現行リーフの30kWhモデルと同程度のエネルギー効率 (8.5 km/kWh)であれば、電池容量は40kWh程度と考えられます。噂に出ていた60kWhモデルは出ないか、高価になるのでしょうか?
私は現状では40kWhもあれば十分かなと思っているので、新型の発表が楽しみです。

(2) リチウムイオン電池の価格は10年で1/10に。EV向け電池で名前が良く出てくるLG化学とサムスンSDIの値下げ攻勢が凄まじいようです。テスラ向けにパナソニックが提供する電池が100 ~ 150 USD/kWhとも言われているので、最先端の電池メーカーはこのレベルで車載向けの電池を生産できるレベルに達しているのでしょう。
EVが高価なのは、走行用電池という非常に高価な部品があることです。電池が高価だから小さい電池しか乗せられない、電池が小さいから航続距離が短い。つまり、EVがエンジン車より買いにくい理由は電池が高価だからという点が大きいのです。
リチウムイオン電池のコスト低下は劇的で、あと数年はモデルチェンジの度に目に見える進歩がEVにもたらされるでしょう。

(3, 4) EVが売れないのは、エンジンの唸る音で車の加減速を感じられず、危険あるいは気持ち悪いからだという記事を読んだことがあります。e-Powerが売れていること、PHVのドライバーがEV走行を求めていることは、エンジン音がなければダメだという消費者がいたとしても大多数ではないことを示しています。
EVが売れなかったのは、EVではなくエンジン車を選ぶのは高価だから、EVではなくPHVを選ぶのは電欠の不安があるから、くらいの簡単な話ではないでしょうか。あとは選択肢がリーフとi-MiEVくらいしかないというのもあるでしょう。

EVやPHVの現状がよく分かる記事でした。

日産がEVに注力したのは、電池コストの低下でいずれ航続距離の問題は解消されるから、複雑で高コストな部品であるエンジンを無くした純粋なEVを開発する方が良いという判断だったと思います。不連続な変化を自ら先取りして、先行者利益を取ろうとしたのですね。
トヨタがHVに注力したのは、高価で充電インフラの整備が必要なEVはドライバーにとってハードルが高いという判断だったと思います。プリウスPHVのEV走行距離も平均的な車通勤の往復距離をカバーできる程度に抑制して、普段はEV走行、遠出はエンジン走行で電欠知らずというのが売りです。過渡期をうまく乗り切ろうとしているのですね。

どちらも筋が通っていて、どちらも正しい。結局リーフプリウスPHVは同じような価格に収まっています。そして、電池の価格は2020年ごろまで下がり続けます。価格が下がれば、あとは車種が増えて、デザインなり、性能なりによって、消費者が自分のニーズに合わせた車を買えるようになるでしょう。
消費者にとって選択肢が増えれば、より売れるようになります。日産か、トヨタか、テスラか、GMか、VWか、はたまたBYDのような中国勢か、誰が勝つのかはわかりませんが。

日産リーフ、2017年フルモデルチェンジ続報」への4件のフィードバック

  1. トヨトミ

    40kWhの新型が今と同水準の価格になるのなら、リーフ初期型24kWh程度の容量なら同クラスのHV(プリウスなど)並の値札で売れる(かも)ということですね。10万キロまで80%容量が保証されて交換バッテリーが30万円ぐらいになるなら、私は24kWhを買います(笑)。

    私は元記事を読んでいませんが、日産幹部がバッテリーコストを明かしたのは初めてではないでしょうか。マスク氏も$100/kWh切りはそう遠くない次期に実現と仰られていますが、HVとの価格のクロスオーバーが数年後には本当に見られそうで楽しみです。

    返信
    1. dekkaino 投稿作成者

      トヨトミさん コメントありがとうございます。
      確かに、バッテリーが安くなったときには、航続距離が短くてもいいから車体価格が安くなる方を選択することもできますね。
      ランニングコストが安くてお得といいながら、イニシャルコスト(車体価格)が高いために、トータルの金額でガソリン車に勝つにはかなりの距離を走らないといけないのが現状だと思います。
      そこで、各社のHVと同じ価格帯にEVを投入できれば、世界が変わる気がします。日産販社の方々も「お得ですよ」と言えて、さぞ売りやすくなることでしょう。他にも、i-MiEVとTantoが同じ価格になったらだとか、妄想が広がります(笑)
      HVはエンジンとモーターを両方載せているので、バッテリーさえ安くなればEVは安くなるのですが・・・ひとまず2020年の$100/kWhでどんなクルマが出てくるのか、目が離せません。

      返信
      1. トヨトミ

        dekkainoさま、
        日経電子版で記事がすべて読めるようになっていました。

        今年の新型で350-400kmというのは日経の記者の予測で、2020年に550kmというのは現行リーフベースの60kWh試験車両から来たものと思われます。

        記事では電力効率を今と同程度と仮定していますが、私は日産なら20%~30%伸ばしてくると見ています。根拠の一つはIONIQ等が既に20%優れていること、モーターやインバター等の刷新が2012年以来5年振りに行われることなどです。

        仮に30kWhから40kWhになり、効率が低く見て20%上がるとすると、1.333倍 x 1.2倍で1.6倍の航続距離 = 280 x 1.6 = 448キロ。米国EPA基準なら171マイル。これなら60kWhで238マイルのBOLTと較べてもさほど見劣らず、容量が少ない分50万円ほど安い値付けが可能でしょう。

        あえて60kWhモデルを今出さなくとも、これなら十分に勝負になると思います。

        返信
        1. dekkaino 投稿作成者

          トヨトミさま
          情報ありがとうございます。
          電力効率の観点は見落としていました。私は化学系なもので、ついつい電池の方ばかり気になっていました。
          思い返せば、リーフ最初のマイナーチェンジも電池容量変わらず、航続距離が1割増えたのでしたね。
          IONIQのような同世代品にできているなら、新型リーフにも同等以上の電力効率を出してもらいたいものです。

          ほどよい値段、ほどよいスペックであれば、Tesla Model 3なんかとも棲み分けになっていいかもしれません。
          消費者としては、あまり高いと買えないし、安く買えるに越したことはありませんからね。

          返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください