imecとPanasonicが安価な全固体電池を開発

安価な全固体電池が登場、エネルギー密度の限界突破で実用化前倒しへ
imecがA4型5Ah品を開発
日経エレクトロニクス 2019/7/23

TDKのCeraChargeみたいな車載駆動用電源と容量の桁が違うタイプの全固体電池ではなくて、車載に使えそうな大容量のもの。

Nikonが倒れたEUV露光機をASMLが実用化したときに立役者として名前が挙がるIMECの名前が電池分野に現れて驚いた。液体状態で塗布した電解質が固体電解質になるので、界面抵抗の問題を解決しつつ製造コストを抑制するという。それも固体電解質はシリカが基になっているとか。トヨタが進めている硫化物系固体電解質が硫化物の反応性ゆえに嫌がられているものの酸化物系では性能が出ないのでしぶしぶ使われているというのに、その問題も解決するのか?数年後には100mS/cmのイオン電導度を達成するなんて言っているし、とんだゲームチェンジャーの登場か?

期待して記事を読むと、固体電解質の正体はナノポーラスなシリカにLi塩のイオン液体を染み込ませてあるだけだった。急速充電に向いていない(0.5C以上で容量低下)、Liデンドライトが発生する問題があると明記されていた。トヨタ-東工大陣営も固体電解質を使うとデンドライトでショートしないというのが売りだったはずなのに、全固体電池でデンドライトが発生してしまったと新聞に出たのが2年近く前のことだ。そもそもimecはイオン液体使っているから全固体電池じゃないだろうというのは置いておいて、セパレータ要らずでコストダウンという宣伝文句はimecでも聞けそうにない。ナノメッシュ構造の電極を使えばデンドライトを抑制できるそうだが、間隙が50 nmしかないからLi結析出しても結晶が成長しにくいくらいの話ではなかろうか。
高温に強いから冷却機構要らずというのは良い。固体電解質の前駆体溶液を塗布してその場で反応させて製造するというのも、適切な前駆体-固体電解質の条件が決まれば大当たりしそう。性能アップに自信があるようなので、もう見当はついているのかな。

トヨタはCATLと提携しちゃうし、いつになったら全固体電池はできるのだろうか。ちゃんと利益の出せるまともな製造技術ができますように。

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