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電池・再生可能エネルギー関連のニュース

リチウムイオン電池ニュースまとめ
国内外のLIB関連ニュースがまとめらている。元ソニーの技術者が運営している。

福島沖での浮体式洋上風力発電システム実証研究事業
福島沖で行われている浮体式養生風力発電の報告書。欧州の遠浅の海では着床式の洋上風力発電が盛んだが、日本近海は深いの着床式がとりにくいため、浮体式の技術が必要になる。技術的にもコスト的にもまだ問題がある様子。外洋での工事というのが難しいみたい。欧州といえばMHIヴェスタスが86万kW級の洋上風力発電所に風車を納入するようだ。

パナソニック、新開発手法で2次電池の競争力強化へ
TEM-EELSに機械学習を組み合わせて、短時間測定でも全固体電池の元素分布をわかるようにした。
関連する研究がNano Lett.に発表されたが、日本語のニュースだと機械学習ではなく多変量解析になっている。

ドイツで潰えたグリーン電力の夢
自然エネルギーの豊富な北部と電力需要の大きい南部を結ぶ電力網の整備が課題となっている。自然エネルギーの不安定を補うのは火力発電であり、ロシアからのガスパイプラインに頼っている。

さまざまな問題を抱える英国のEV充電施設 数だけでなく質も重要
日本はNCS合同会社をつくれたからまだ良かったものの、充電サービスが乱立すると利用者にとって好ましくない。

ペロブスカイト太陽電池が量産化へ
Oxford PVが開発したペロブスカイト太陽電池が2020年までに年間250MW分の大量生産に入る模様。Oxford PVは2018年に変換効率28%を達成している。シリコン太陽電池ではPanasonicが25%くらい。コストが抑えられれば広がるだろう。色素増感太陽電池のように夢破れないことを祈る。

 

そのほか

どうして植物は緑色光を使わないのか?
葉の奥まで散乱で光を導くため。

PillPack
複数種類の薬を飲むタイミングごとにまとめたパックにして販売するパッケージ。医療費の効率化になるが、日本では法的にどうなんだろう。医師の了解があれば一包化していいみたい。

「本当の国のサイズ」を見て改めて日本の狭さを知った
独仏など欧州の主要国と比較するとき国土面積だけを見ては誤ったイメージを持つ。日本の国土の面積ではそれなりに広いが、南北に細長いため気候や文化に差が大きい。人口密度を考えるときに重要な可住地はとても狭い。日本のほかには韓国も可住地が狭い。

阪大 石島研究室 理論・計算
生物物理の研究室の理論まとめページ。顕微鏡の考え方と、生物物理に必要な物理化学数学の説明がまとめられている。

建機にディープラーニング、ゼネコンのフジタが開発
パワーショベルの穴掘りを自動化。熟練オペレータの操作を学習した。

ファウンドリ大手のGLOBALFOUNDRIES、7nm開発を無期限に延期
AMDが7 nmプロセスの自社製造を中止、TSMCに委託する模様。EUV使うのはTSMC, Samsung, Intelの3社に絞られる。EUV露光機はNikonが脱落してASMLのみが開発できた
配線の幅が細すぎるとキャリアの量が足りなくて回路が成り立たない、線幅を10 nm以下にするならキャリア密度を上げる必要があるという話を大学で聞いたが、いまはどうなっているのか。

ネコではアルツハイマー病と同じメカニズムで神経細胞が脱落する
ヒトのアルツハイマー病を再現する動物がいないことが治療法開発の障害になっていたが、ネコがヒトと同様の仕組みでアルツハイマー病になる。創薬に役立ちそう。

大量のネズミ 築地市場から拡散のおそれ 周辺地域は戦々恐々
築地市場に住み着いたネズミが周辺地域に拡散する懸念があるという記事。隔離された地下水の汚染を問題にして豊洲市場への移転を延期した一方で、こんな不衛生な場所を市場として使い続けた矛盾。非科学的な政治的決定がはびこっているが、築地市場の不衛生なり不安全という明確な問題がなぜこれほど無視されてきたのだろうか。

「漫画村」運営者を特定米IT企業、通信記録を開示
運営者を特定するのが難しいからやむを得ずブロッキングをしましょうという議論がなされていたが、これで根拠がなくなった。中島博之弁護士は実務家として、日本の通信の秘密を守った。

「AI失業」は起こらない
AIによる効率化は従来の産業構造変化 (製造業からサービス業へ) の流れを逸脱するようなもではない。サービス業が低賃金になりやすい点は低スキルで足りる仕事が多いためという。高等教育では実践的職業教育よりも陳腐化しない論理性・分析力を身につける方が高価値という指摘も。高スキルの労働者と高スキルを要する仕事は、鶏と卵の関係か。

過去の空中写真の重ね合わせ
1947年ごろ、1963年ごろ、1975年ごろ、1990年ごろの4年代の航空写真をGoogle Mapと重ねて表示できる。埋立地が広がり、高速道や新幹線が伸び、建物が増えていく様はまさに日本の成長の軌跡を見ているようである。羽田空港の変遷や、地元の変わらなさがおもしろかった。

トマト栽培を10年で黒字化、カゴメの未来工場
植物工場の成功例。生産性は一般施設の7倍に及ぶ。単に海外のパッケージを輸入するのではなく、雰囲気の制御やトマトの支持方式で技術的な進歩があった。まじめに研究開発をやり遂げたという印象。雰囲気制御の話はプラントエンジニアリング業界と親和性が高そうだが、植物の特性を理解して橋渡しする人がいなければうまくいかないのだろう。有限会社アグリマインドは山梨県北杜市に所在。

ラズパイで高品質なメロンを栽培、越谷市と富士通が共同研究
ラズパイでハウスの環境を計測。温度、湿度、照度、CO2濃度。改善効果がどの程度なのかを明確に書いていないが、データをとれるようにしただけで有意義だ。データがなければ改善の試みも当てずっぽうに終わる。

小菅沢 枕状溶岩
丹沢が海底にあった名残。場所の詳細な案内は小菅沢・枕状溶岩磨き隊に詳しい。神奈川県立生命の星・地球博物館の解説。車で行くならはユーシン渓谷駐車場から徒歩が確実。

Googleがオープンソースで公開したAI技術「BERT」 読解力は人間上回る?
自然言語処理の進展が華々しい。東ロボくんの生みの親《新井紀子》教授の間違いが明らかになった日。人間は人工知能に読解力でも負けつつあるを読むと、すでに読解力テストを受けたら私よりも高いスコアをとると確信した。汎用言語表現モデルBERTを日本語で動かす(PyTorch)を読むと、計算コストが弱点のようだけれど、そこはGoogleさんのように民間の物量作戦でクリア。Google翻訳がますます使いやすくなりそう。

6年勤めたNTTを退職しました
NTT研究所を退職してGoogleに転職した人の記事。裁量労働制 (人件費削減でない本当の)、入社7年目で年収653万円という世間からしたら恵まれた環境。やめた理由は給与の上限と社内環境への絶望。特に後者は過剰セキュリティとメモリ4 GB、HDDという悲しい環境。NTT研究所でもこの程度か。残念な労働環境は優秀な人材をスポイルする。

「もっと早く来い!」と叱責されたSE、裁量労働制なのに納得できない
裁量労働制は使用者側にいろいろと制限がかかっているのにも関わらず、たいていは労働者に過剰な要求、命令をしているという話。

山手線 E235 系で自動列車運転装置(ATO)等の試験を行います
山手線に自動運転が入ると話題に。ゆりかもめに代表されるように、ATO自体はすでに実用化されている。航空機でも自動運転が実用化されて久しいが、いまだにパイロットは乗務して、機械で処理しきれないケースに備えている。異常時に鉄道は最悪停車すればいいので完全自動化は可能だろうが、最低でも全駅のホームドア設置が不可欠だろう。2018年12月から2019年1月の試験走行が案内されているが、もし駅ホーム人転落に対する緊急停止試験があったら興味深い。

研究の参考にしているサイト集

プラセボ製薬
偽薬の積極的な利用。認知症で投薬を求める被介護者に与えるなど、本来の投薬をすべきでない場面で投薬という動作をするのに用いる。

コンクリートの平成史
施工時の社会背景がコンクリートの品質を大きく左右していることを指摘している。社会インフラのストックが増加したことで維持管理の重要性が増しているという点や、最近の技術的な進展についても言及されており、興味深い。
コンクリートの経年劣化がレンガのような趣を持たないという指摘はおもしろい観点だ。コンクリートと観光については、ちょうど八ッ場ダム観光が新聞に出ていた

実用化間近のナノインプリント、2019年にも3D NAND量産
半導体の微細化技術のナノインプリントリソグラフィ (NIL) が実用化しそうという記事。露光波長を短くする路線でArFからEUVに進めたのはASMLだけで、ニコンが脱落したのに対して、NILはキヤノンが手掛けているというのが面白いところ。キヤノンは早々にEUVを諦めているので、もしNILが成功すれば歴史に残る決断だったといわれるだろう。

全社員をプログラマーに、超異例の「大作戦」に挑むディスコの野望
ソフトウェアスキルの段級制をつくって、非専門家にもスキル向上の方向性を見えるようにしている点が素晴らしい。非専門家のレベルを上げることで専門家を本来注力すべき課題に集中させることができるという。非専門家が課題を自力で解決することで低レベルな課題が専門家を煩わせるという状況を排除するのみならず、非専門家が専門家に相談するときに効率的に状況の整理やコミュニケーションができるようになる点に言及していることから、生々しい現場の状況をこの件の担当者が理解しているように思われる。

《日経Robo》単眼の通常画像センサでステレオ匹敵の距離画像、口径分の視差使う東芝のカラー開口技術
画像解析する際には本来ありがたくないボケを逆に利用することで、単眼カメラでもステレオカメラ並みの精度で距離を計測できる。イメージセンサの左右でシアンとイエローのカラーフィルタを付けている。こんな色収差の利用法があるとは、すばらしい。

超電導で電力を供給し中央線E233系電車をフル加速
超伝導ケーブルは電気抵抗がないため送電ロスを減らすことができる。常温常圧で超伝導を示す物質は見つかっていないが、液体窒素温度まで冷却すれば超伝導を示す材料が工業化され、思いにはMRIやNMRといった強力な磁場を発生させる用途に使われている。電力ケーブルで必要な長さは格段に長く、線材と冷却のコストが課題となる。このような背景から、超伝導電力線の実用化は短距離で大きな直流電流を送電する用途から始まると考えられている。直流電化された電車は有望な応用先のひとつである。

気になる研究・論文

Neural Scene Representation and Rendering

All-Optical Machine Learning Using Diffractive Deep Neural Networks

Ghost cytometry
細胞の形態情報を自家蛍光の時間変動に置き換えることでフローサイトメーターに近い処理速度を達成した。

雇用流動化で考慮されるべき論点

Genetics: Genes may influence university choice and achievement

Platelet BioGenesis

Optical manipulation of work function contrasts on metal thin films
一般に光強度依存性がないとされる仕事関数が光強度依存性を示す場合。10 nmオーダーの金属薄膜と半導体が接合している際に、半導体の伝導体に光励起された電子がある程度たまると、電子がショットキー障壁を超えて金属に注入される。これが金属の仕事関数のシフトとして観測される。文献ではKFMを用いていた。

Air‐Stable, Lead‐Free Zero‐Dimensional Mixed Bismuth‐Antimony Perovskite Single Crystals with Ultra‐Broadband Emission
可視光全域という広帯域の発光スペクトルを示すペロブスカイトが見つかった。発光の由来は自由な励起子とトラップされた励起子の両方に由来する。

Bridging the Micro-Macro Gap between Single-Molecular Behavior and Bulk Hydrolysis Properties of Cellulase
セルロースを分解する酵素反応速度が1分子計測とマクロな実験で大きく異なることを説明した文献。セルロース分解酵素はセルロース結晶表面へ吸着する部分とセルロースを分解する部分の2つの部品が結合している。後者が大きく結合が遅いため、酵素の濃度が高いと前者の吸着(非生産的結合)でセルロース表面が埋め尽くされてしまい、分解が進まない。1分子、秒からマクロな系まで、時間的に幅広いスケールを統一的に説明できている。著者の解説記事がわかりやすい。

Complex societies precede moralizing gods throughout world history
神の宗教的信仰は、社会的複雑性の進化の結果であり、その原因ではないことを発見し、人類進
化の歴史的起源に関する既存の理論を覆した

Photochemical C–H oxygenation of side-chain methyl groups in polypropylene with chlorine dioxide
日本語の解説は二酸化塩素と光でプラスチック表面を機能化 (chemstation)が詳しい。
ClO2に光照射して生じるClO2ラジカルを酸化剤とした表面改質法が開発された。基になった研究はメタンの直接空気酸化でメタノールを生成したもの。ClO2ラジカルによる酸化では、COやCO2までは酸化されていないことから、表面改質に使うには強すぎないちょうどよい手法といえる。一方で、ポリプロピレンの側鎖メチル基を酸化できるだけの酸化力は持っている。
光によって表面改質を行う場所の制御が精緻に行えることから、工業的な利用価値が高い。
ClO2ラジカルの吸収ピーク波長は358 nmであり、高圧水銀ランプなど一般的な露光機を使用できる。

MouseLight Project Team Maps 1,000 Neurons (and Counting) in the Mouse Brain
マウスの脳のニューロン1000個について、神経回路が脳内でどのように伸びているかを可視化した研究。データベースも公開されている。単一のニューロンを調べても脳全体の働きはわからないという文句があったが、どうやら科学者は脳全体を観察することすら実現してしまいそうだ。
元文献によると、蛍光タンパクの遺伝子を導入したマウスの脳を摘出し、CUBIC-1で透明化したうえで2光子励起顕微鏡で脳全体を観察した。ソフトウェアで高解像度化した3D蛍光像をソフトウェアで自動的に処理することで、1個1個のニューロンを帰属した。脳全体の蛍光像を撮影するだけで1週間かかっているという。ニューロンの再構成を人力で1000個やるなんて無理だから、計算技術が役立っている。

ネタ

21世紀の人類がZIPのパスワードを直後のメールで送るのは、なぜデスか?
「データサイエンティスト・ラプソディ」 なぜ優秀なAI人材は転職するのか

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横浜市「RPAの有効性検証の成果について」を読んで、仕事とは何かを思い知らされる
横浜市の報告書

マネジメント

研究環境整備

文献管理ソフト Mendeley 日本語の簡単な説明 東大の内部向け説明書き Wordで参考文献を記載する方法

画像解析ソフト imageJ, Fiji (imageJの生物画像向けパッケージ)

3次元イメージから細胞数を計数するimageJの機能に3D Objects Counterがある。動画での操作説明を見つけた。細胞がたくさんある画像では、区切り方にエラーが生じるので3次元像を人の目でカウントするのを代替するほどではないという文献があった。

小まとめ

一重項酸素の反応性
基底状態の酸素分子O2は、同エネルギーの2つある反結合性Π軌道に電子が同じスピンで1つずつ入っている三重項状態である。HOMOの電子がペアを組んでいないビラジカルであり、ラジカル的な高い反応性を示す。
一重項酸素は励起状態かつ長寿命のSinglet Delta (1Δ) にある酸素分子を指す。一重項酸素は基底状態から約1 eVエネルギーを持ち、一重項酸素が基底状態に輻射失活するため1270 nmに発光(燐光)が見られる。したがって、一重項酸素の発光強度を計測することで、その量を比較できる。一重項酸素は活性酸素の一種として生体分野で注目されており、分布を可視化する蛍光プローブも市販されている
Singlet Deltaでは、2つの反結合性Π軌道のうち1つで2電子がペアを組んでおり、もうひとつが空になっている。このため一重項酸素は求電子的な挙動を示し、オレフィンやジエンに対してエン反応を起こすカルボニル基などのヘテロ原子を持つ親エン体への反応ではルイス酸を添加すると、その配位によりLUMOのエネルギー準位が低下するため反応が加速されるということは、ルイス酸の添加やLUMOの電位調整によって一重項酸素との反応性を制御できるかもしれない。
一重項酸素の生成は、メチレンブルーをはじめとした光増感剤を用いることが多い。光増感剤をナノ粒子薄膜にすることで気相反応を起こす取り組みもなされている。過酸化物の熱分解で発生させる手法もあり、市販品もある。
あとで読む:活性酸素の電子構造と反応性, 光化学の時間スケール