急速充電器を支える電気回路技術

日経エレクトロニクスの2017年9月号に電池関連の記事が載っていたので、おもしろく読みました。

Liイオン2次電池に製造革新、樹脂で電極構造や集電体を実現

現行のリチウムイオン電池は、電子とLiイオンを出し入れする活物質から金属の集電体を通して外部回路に電気を取り出しています。集電体を樹脂に置き換えることで、コストダウンや電池の構造を変えられるという話です。

全固体電池を大幅に安く、東工大が新型電解質材料

固体電解質のLiイオン伝導度はすでに液体電解質の10 S cm-1 を上回っているそうで、コストや耐久性が問題なければ製品化までゴリゴリ開発を進められそうです。
東工大の菅野研はトヨタ自動車と全固体電池の共同研究を進めており、発見された新素材は今ごろトヨタの研究所で製造適正やら耐久試験やらにかけられていることでしょう。トヨタの東富士研究所から菅野研のあるすずかけ台まで東名高速1時間、それなりの研究リソースを投入しているために、早ければ2020年に車載全固体電池を出すなんてことが言えるわけです。2020年まで残り3年、もう研究から開発に移行しているのかもしれません。

最後にもうひとつ、急速充電器と電気回路の話がおもしろかったのですが、電子版のページを見つけられませんでした。

日産のディーラーに設置されている急速充電器は、44 kWという大出力なのに細身のスタイリッシュな見た目をしています。他社の急速充電器や、リーフ発売当時の急速充電器がみな大きなお弁当箱のような形であるのと対照的です。この記事の画像が分かりやすいでしょう。

小型の急速充電器が実現された背景には、マトリックスコンバータという電気回路技術を長岡技術科学大学の技術協力で製品化し、部品点数とコストの削減に成功したことがあるようです。調べてみると日産のカタログにも述べられていました。

私は素材の方が専門に近いので気づきませんでしたが、電気工学の面で効率アップやコストダウンの余地が残されているのだろうと期待してしまいます。150 kW級の急速充電器では、どんな技術が投入されるのでしょうか。


ところで、急速充電器のカタログを見てみると、工事費が74万円から295万円(受電設備の状況による)、itmediaの記事による急速充電器本体が74万円以下ということなので、高圧受電設備があるなど条件さえ良ければ150万円程度で急速充電器を設置できるようです。

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