急速充電CHAdeMO規格の高容量化-150kWへ

EV充電時間3分の1 普及団体が規格改定
2017/3/27付日本経済新聞 朝刊

まず、現状のCHAdeMo規格急速充電の話をします。

新型リーフやシボレーBOLT、テスタModel3など、60kWhクラスの電池を搭載したEVが話題になっています。航続距離がネックのEVにとって、電池容量の拡大はコストダウンと並ぶ最重要課題です。

電池が大きくなると、問題になるが充電時間です。2017年の今日、日産のディーラーなどに置かれている出力50kW (~125A × 380 V) の急速充電器が最も短時間で充電できる装置です。

50kWで30分の充電をすると、充電できる電気量は50kW*0.5h=25kWhです。現行リーフの電池が30kWhですから、30分間まったく充電電流が低下せずに最大出力で充電できたとしても、30kWhの8割程度しか充電できません。満充電に近づくと充電電流が低下するので、電池容量増加は最大電流を出せる時間が伸びる分だけ充電が速くなりますが、上述の条件では理想的にも25kWhまでしか充電できません。

25kWhで走れる距離は、電費が7.0km/kWhなら175km、8.0km/kWhなら200kmです。大阪から名古屋くらいの距離なので、30分の充電でこれくらい走れればいいような気もします。
余談ですが、私は集合住宅で充電設備がなく、急速充電頼みで生活しています。新型リーフが40kWhと60kWhだとして、急速充電で25kWhしか入らなければ40kWhで十分じゃないかと思っていたります。

ここで、ようやく一番上に挙げたCHAdeMO規格改定の話です。

私はのんびりした性格なので、急速充電30分待てばいいじゃないかと思ってリーフを買いましたが、早く充電が終わるに越したことはありません。さすがに片道200kmくらいのドライブに出かけるときは充電時間が暇で仕方がないですし、時間的なロスも無視できません。同乗者が居ればなおのことです。

充電時間を短くするのには、単純に充電器の出力を上げればいいのです(電池劣化は置いておいて)。CHAdeMO規格の今後の話は、以下の記事がわかりやすいので、気になる方はぜひご一読ください。
国際標準となったCHAdeMOのジレンマ、高出力化とコストの兼ね合い

今後のスケジュールとしは、2017年中にCHAdeMO規格で150kWまでの急速充電器がつくれるようになります。さらに、早速2017年内に150kWの急速充電器が発売されるようです。50kWから150kWと3倍の出力になるので、充電時間は1/3で済むというわけです。10分ならサービスエリアでトイレなり自販機なりに行って帰ってくるだけで簡単に時間を潰せますね。もちろん、急速充電器を設置する事業者が150kWのものを設置してくれないと私たちは使用できません。高速道路のサービスエリアなど、高出力の急速充電器を設置する需要も環境も整っているところでしか、お目にかかれないかもしれません。

CHAdeMO規格は2020年に350kWまで範囲を拡大するようです。現状私が想像できる範囲では、これほどの高出力が乗用車に必要と思えません。長距離トラックやバスなどの大型車のEV化を見越しているいるのでしょうか。とにかく、規格の中でしか急速充電器は作れないので、規格が高出力まで許容するのは大事なことです。必要であればメーカーが作ればいいし、必要なければそれでいい。私としては、乗用車など普通車はEV、大型車はFCVという棲み分けになると考えているのですが、もしかするとEVが席巻するかもしれません。


2018年2月13日追記
出力90 kWの急速充電器が日産ディーラーで稼働しはじめたようです。写真を見るかぎり新電元工業製です。CHAdeMO protocol Rev.1.2に対応した車両は90 kWで充電できるようですが、日産のWEBサイトを見るに40 kWhモデルは50 kWまでしか対応しておらず、62 kWh (e+) モデルでないと90 kWでの充電はできなさそうです。車載コンピュータのアップデートで対応できるのかは不明です。

急速充電CHAdeMO規格の高容量化-150kWへ」への6件のフィードバック

  1. 賃貸EV

    はじめまして
    チャデモの新規格を調べていてたどり着きました。

    名前の通り、賃貸集合住宅に住みながらモデル3を買おうと思っているのですが、
    管理人さんも自宅に充電設備が無い状態でリーフを購入されたと読んで心強いです。

    先程調べた所だと、自宅近くのファミリーマートに20kWのチャデモがありました。
    これだけだと運用が少々厳しいかな?と思ってます。
    管理人さんが普段充電に使っているのは何kWの設備ですか?

    返信
    1. dekkaino 投稿作成者

      賃貸EVさま

      私は普段日産ディーラーの44 kW充電器を使っています。家から車で15分くらいの場所です。
      コンビニの20 kW充電器がもう少し近くにありますが、あまり使いません。

      充電器の能力が充分か検討するのには、充電一回あたりの航続距離を見積もることをお勧めします。
      40 kWhリーフに44 kW充電器で30分充電すると、20 kWhほど充電されます。下道なら150 km, 高速道路なら120 kmくらい走れるエネルギーです。
      充電時間を短くしたり、出力が下がれば、比例して走れる距離が短くなるわけです。20 kW充電器なら30分で60 kmくらいです。

      あとはどれだけ充電時間を許容できるかですね。本読んだり、スマホいじったり、何かしていれば30分くらい経ちますけれど、月に何度もとなると面倒かもしれません。

      返信
      1. 賃貸EV

        管理人様

        返信ありがとうございます。
        まだまだEVは勉強を始めたばかりで、
        充電設備の容量、充電時間、それによる走行可能距離が、
        パッとイメージ出来ずにおります。
        モデル3を買うまでに慣れていこうと思います。

        20kW設備はやはり使わないんですね。納得です。
        自宅周辺には、日産と三菱、トヨタにそれそれ設備がありますが、
        これらは契約さえすれば他社製のクルマでも使えるのでしょうか?

        国産にお乗りの方ならわざわざ他社ディーラーに行く事は
        無いと思いますが、もしご存知でしたら教えて下さい。

        返信
        1. 賃貸EV

          近所の日産は、44kWタイプのCHAdeMOでした。
          GoGoEVさんのサイトで調べました。

          少し離れたところにある三菱だと
          50kWタイプになっているようです。

          これらを利用出来るとなれば、
          随分と現実的になってきます

          返信
          1. dekkaino 投稿作成者

            日産、三菱、トヨタ、ホンダは合同で日本充電サービス(NCS)という会社を作って、共通の認証システムを持っています。
            NCSと契約すれば、誰でも充電カードを持てます。日産はNCSのサービスをもとにZESPという日産車用の充電カードを出していますが、違いは料金くらいなものです。
            どうやらテスラもNCSをもとにした充電カードを出しているようですので、日産も三菱も使えるでしょう。

            NCSに加盟している充電器にはチャージするゾウのアイコンがついています。EVsmartで検索されると、わかりやすいと思います。

  2. 賃貸EV

    管理人様

    情報ありがとうございます。
    現実味が少し増しました。
    充電設備を今度確認してきます

    返信

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