低炭素社会事例集

再生可能エネルギーの利用が広まってきているのは確かなのだろうが、具体的にどこでどれだけの開発がなされているのかがよくわからない。目に留まった事例をリストしていきたい。

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エレクトリカル・ジャパン 日本国内の電力生産と消費を可視化している。発電所の一覧もある。

風力発電

福島浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業 (浮体式)
2013年に浮体式洋上変電所、2 MW風車、2015年に7 MW風車、2016年に5 MW風車を設置した経産省の実証実験。福島県楢葉町の沖合20 kmで実施している。量産商用機を使った2 MWは順調、新開発の実証機を使った5 MWと7 MWは不調で特に7 MW機は稼働率が低すぎるため採算取れず撤去すべしという状況に2018年の段階でなっている。福島原発事故後ということもあり、かなり世論を煽る人 (丸紅、飯田哲也氏など) もあったため、野心的というか拙速というかな計画だった模様。

五島列島 (浮体式)
五島列島の福江島から5 kmの沖合で2016年3月に営業運転開始。風車自体は2013年10月から椛島沖の環境省実証実験で稼働していた2 MWのもの。2012年6月100 kW風車を設置し、漁業などへの影響を調べた。レポートでは魚が減るどころか、むしろ浮体が漁礁のように魚を増やす効果を示したという。台風直撃にも耐えた実績がある。地元に求められて風力発電施設を福江島に移設して営業運転開始という成功事例といえよう。戸田建設は10基まで増やしてコストダウン、収益性改善を構想しているようだ。
浮かぶ巨大風車、船上で見た実力 長崎の洋上風力ルポ

Hywind Scotland (浮体式)
ノルウェーの石油会社Statoilが設置。6MWの風車が5基、スコットランドの沖合25 kmに設置されている。水深は120 m程度。2017年10月に運転開始。

モレイ・イースト洋上風力発電所
英国の風力発電事業者モレイ・イーストがスコットランド東海岸沖合に設置。MHI Vestas (三菱重工系) の9.5 MW級洋上風力発電設備V164-9.5MWを100基導入する。2022年運転開始を予定。

トライトン・ノール Triton Knoll
ドイツ系イノイジー innogy 社傘下のトライトン・ノール洋上風力発電事業会社 (Jパワーが25%、関西電力が16%出資) が英国東岸の北海上に設置。MHI Vestasが9.5 MW級洋上風力発電設備V164-9.5MWを90基導入する。2021年運転開始を予定

Vineyard Wind
Vineyard Windがマサチューセッツ州Martha’s Vineyardに設置する。MHI Vestasの9.5 MW級洋上風力発電設備V164-9.5MWを導入し、800 MW級の発電設備を建設する。2021年に導入予定。

洋上風力発電設備のシェア (2017年) では、シーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジーが6割弱、MHIヴェスタスが2割弱。

風力発電一覧

十三湖風力発電所
津軽風力発電 (日立キャピタルグループ)が運営。2019年7月運転開始。2.3MWの風車が15基、総出力34.5MW。一般家庭2万4千世帯分の発電を見込むとあるので、稼働率は約3割を想定している模様。FITで東北電力が買い取り。

ウィンドファームつがる
グリーパワーつがる合同会社(グリーンパワーインベストメント)が運営。2020年4月運転開始予定。3.2MWの風車が38基、総出力121MWと完成時点で国内最大の陸上風力発電所。風車はGE製の直径103m品。一般家庭9万世帯分の電力を供給する。これは津軽市と五所川原市を合計した世帯数に相当。農山漁村再生可能エネルギー法に基づき畑作地帯の農地を利用する。
各風車からは地中配電線(33kV)で変電所に集電し、154kVに昇圧した後に電力会社との系統連系地点まで地中送電する

秋田沿岸 中部電力、丸紅、大林組、関西電力など
中電、洋上風力に参入 秋田沿岸、来年にも着工 中日新聞 2019/7/3 朝刊
2020年着工、2022年運転開始を目指す。秋田港と能代港の沿岸に着床式の風車を20基設置する。総出力14万kW。

清水建設が初の船舶建造 巨大洋上発電風車に対応
総費用500億円、完成は2023年10月。高さ200~300mの大型風車に対応できるようになる。日本ではじめて8MW級(高さ200m)の風車に対応する。

中国初、1300トン級の自走式洋上風車設置船が完成
つり上げ荷重は1300トン、長さ105メートル、幅42メートルという規模。8MW級風車を2基、輸送および設置することが可能。

シーメンスガメサ、洋上風力で世界シェア5割超のワケ
世界初の洋上風力発電を実現したデンマークのボーナスエナジーを2004年にシーメンスが買収した。シーメンスの風力部門とスペイン風力設備大手ガメサが2017年に統合。モロッコにブレード工場を稼働した。ブレードの生産は手作業によるところが大きくて、労働コストが安いモロッコに立地しているのが競争力につながっている

送配電

東電PGが公表した「再エネを増やす画期的な系統運用」の威力
東京電力が分割された送配電会社の東電パワーグリッドが千葉方面の送電線容量の計算を見直した東電PGの資料によると、房総半島では1000万kW級(内洋上風力が9割以上!)の申し込みがあるらしい。現状では送電線の容量を使い切っており、新たに10年と1000億円ほどのコストをかけて送電線を新たに建設しなければならないとされていた。これまでの容量計算は、最大限過酷な状況を想定したものだった。東電PGでは需要の推移と再生可能エネルギーの出力の推移を考慮してシミュレーション行い、時間にして1%程度の出力抑制を行えば再生可能エネルギーを受け入れられるという。シミュレーションで想定した接続容量は500万kW程度であると日経の記事に述べられているので、すでに申し込みのあった分の半分は受け入れられることになる。洋上風力の建設にかかる時間を考えれば、ほとんど大丈夫なのではないか。

宮古島マイクログリッド
沖縄の離島における分散型エネルギー
離島は火力発電のコストが高い。自然エネルギー利用にコスト的な優位性あり。
風力発電は風車が台風で破壊されるトラブル発生。可倒式なら台風時の保護に加えて、メンテナンスも容易になる。離島は電力網が小さいため、あまり大きい出力の風力発電は出力変動を吸収できない。

EVの大規模導入

セブンイレブン
トヨタ車体の小型EVコムスを宅配用に活用。

日本郵便
2010年に集配用EVを1000台導入するこにしたが、残念な事情で頓挫した。コンバートEVで名をはせたベンチャー企業ゼロスポーツは破産した。2011年には三菱自動車がMINICAB-MiEVを発売するも、大量採用の知らせは聞こえていない。EVベンチャーといえば、ナノオプトニクス・エナジーもシムドライブも消えてしまった。そう考えるとテスラはよくやったものだ。
日本郵便は2018年から電動バイク(HONDA)の採用を始める模様。

地熱発電

松尾八幡平地熱発電所
国内で約22年ぶり、岩手県で7MW級の地熱発電所が本格稼働
岩手県松尾八幡平地域で2019年1月から「松尾八幡平地熱発電所」の運転を本格的に開始した。定格出力7499kW(キロワット)で、出力7000kWを超える地熱発電所の稼働は国内で約22年ぶりという。

別府温泉
アイベック別府地熱発電所
別府温泉の余剰蒸気で700世帯分を発電、温泉バイナリー式地熱発電所が始動
280 kWの発電機PureCycle280 (Pratt & Whitney) を2基設置。総工費5億円、年間売電収益1.5億円の予想。年間発電量は389万kWhを見込むとあるので、最大出力に対して79%の稼働率。出力を調整したり、点検で停止したりする分だろうか。

温泉発電の「落とし穴」、別府の事例 (1/2)

波力発電、潮汐発電、潮流発電、海流発電

鹿児島県十島村口之島沖 100kW IHI「かいりゅう」
IHI、海流発電1年以上実験、21年実用化めざす
IHIのプレスリリース
タービンを水中100mの位置に浮遊させて、黒潮のエネルギーを回収する。IHIとNEDOの実験。2017年に1週間の試験済み。今回は1年以上の長期試験を実施する。送電は海底ケーブルを経由するほか、メンテナンス時は浮上する
類似技術としては、英国で着床式の潮流発電が先行しているらしい。スコットランドEMECのメイジェンのことだろうか。メイジェンは海流ではなく潮流お利用して1.5MW級だという。
素人考えだと海流発電は究極の水力発電であるように思う。海流の蛇行は問題にならないのだろうか。

始華湖潮力発電所 韓国
始華湖に建設され潮汐発電所。2011年に稼働した。潮汐発電としては世界的に有名なフランスのランス潮流発電所(1966年)が出力240MWであるのに対して、 始華湖 は出力254MWであり、スコットランドのメイジェンが完成するまでは世界最大。韓国の西海岸にはほかにも複数の潮力発電所のプロジェクトが進行中

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